わせだかいわい 

早稲田ジャズ喫茶
JUZZ NUTTY

花屋からJAZZ喫茶へ
 早稲田キャンパスから徒歩5分の場所にあるジャズ喫茶「JAZZ NUTTY」。グリーンの扉を開けると、そこには大音量のジャズの世界が広がる。店内には音楽を聴くためだけの小さなテーブルと何脚かの椅子が並ぶ。JAZZ NUTTYでは、調理の音が音楽を邪魔しないようドリンクの提供しか行わない。あくまでも音楽を主役にすえた徹底したこだわりを感じる。

 JAZZ NUTTYは2009年1月にオープンし、夫婦で経営している。店名の「NUTTY」はご主人が大好きなジャズ・ピアニストであるセロニアス・モンクの曲名から取った。「クレイジー」「イカれた」という意味合いも含まれているそうだ。

 JAZZ NUTTYをオープンする前は、夫婦で花屋を経営していた。少しシャイで朴訥なマスターときさくな奥さん。お二人の人柄を感じる温かな雰囲気が店内には漂う。
「26年花屋をやっていたんだけど、専門学校のキャンパス拡張で立ち退きになって、新しい場所でやるなら、花屋じゃなくてずっとやりたかったジャズ喫茶をやろうと思ったんです」。早稲田にオープンしたのは「JAZZを好きな人が多いと思ったから」。早大生や教職員の中でも行きつけにしている人は多いようで、店内には早大生が作った店名を形取った置物も飾られている。

早稲田の秘境
 奥様との出会いは獨協大学のサークル「モダンジャズ研究会」。二人を結びつけたのもジャズ。ジャズなくしてご主人の人生は語れない。「学生の頃、ジャズ喫茶に行くと、心がすごく救われたような気持ちになったんです」。JAZZ NUTTYも誰かの心の拠りどころになるような場所になりたい、と語るご主人。「繁盛したいという気持ちはもちろんあるんですけど(笑)、隠れ家にしたいから、人には教えたくないってお客さんにいわれるのもうれしいですね」。ゆったりと音楽を聴ける店内は、どこか現実世界を忘れさせて“ひとり”になれる不思議な空気が漂う。

旅するスピーカー
 ご主人が最もこだわったのは、スピーカー。花屋時代に立ち退きの説明に来た先生から偶然貰い受けた。もう出回っていない貴重なスピーカーであったが、壊れて音が出なかった。そんなとき、ちょうど山形に凄腕の修理師がいると知り相談。壊れたスピーカーは山形へと向かい、息を吹き返し早稲田に戻って来た。

 「このスピーカーの台も凄くこだわっているんですよ」と、ご主人ははにかみながら嬉しそうに語る。音のことを考えつくされた山形の修理店特製のスピーカーの台は、スピーカーの次に自慢の品である。

 ジャズ初心者には、「モダン・ジャズの帝王」と呼ばれたマイルス・デイヴィスや、店名「NUTTY」の作曲者セロニアス・モンクがオススメのようだ。「ジャズジャイアンツと呼ばれる人にはいいところが必ずなにかある。まずは、その人たちの名盤といわれるアルバムを何度も何度も聴いてみると良いですね。そうすることで、人生をかけて探求し続け表現された、美しい魂に出会うことができると思います」。

 はじめは勇気がいるかもしれないけれど、思い切ってひとりで扉を開けると新しい出会いが待っているかもしれない。

看板はご主人の手作り
▲看板はご主人の手作り


マスターの青木一郎さん
▲マスターの青木一郎さん

早大生が作った「JAZZ NUTTY」の置物
▲早大生が作った「JAZZ NUTTY」の置物

お休みの日は奥様とお買いものデートをしているそう
▲山形のオーディオラボに修理してもらった
自慢のスピーカとスピーカ台


お休みの日は奥様とお買いものデートをしているそう
▲お休みの日は奥様とお買いもの
デートをしているそう



 
1228号 2010年10月21日号掲載