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バンクーバーオリンピック クロスカントリーに最年少出場!
「1%は辛かったけど、99%は楽しめました」

柏原 理子さん

■かしわばら・みちこ
1991年長野県生まれ。スポーツ科学部2年。長野県立飯山南高等学校卒業。今年2月、カナダのバンクーバーで開催された第21回オリンピック冬季競技大会にクロスカントリー女子日本代表として出場。4×5kmリレーで9位入賞。雪の中を走り抜ける強い身体をつくるもとは「おいしいお米!」。なかでも大好物は、母の手作りおいなりさん。「ちらし寿司のような具沢山の寿司飯が油揚げの中にぎっしり詰まっていて、ほんとおいしいんです!」とのこと。選手として目標にしているのはノルウェー出身のマリット・ビョルゲン選手。

 小学校1年生のころから、兄の背を追いかけるように始めたクロスカントリー。自身の成長と共にだんだん良い結果を出せるようになるのが楽しくて「もっと上に行ける!」と信じ、10年以上、競技にすべてをかけてきた。だが本学入学直後の2009年5月、厳しい状況に直面する。「もともと肩が脱臼しやすくて。なんとか筋トレで肩まわりに筋肉をつけてカバーしてきたんですけど…」。悩みの脱臼癖が悪化、手術をすぐ受けるべしとの診断が出たのだ。迷いはあったが、手術を受けた。

 手術は成功したものの、しばらくは腕を固定したままの生活。もちろん全身を使うトレーニングなどはできない。それならば、と柏原さんは考えた。「上半身が使えないのなら、下半身を鍛えるトレーニングをやってやろう!」と。股関節の弱いところも克服するいいチャンスと、プラスにとらえ、熱心に下半身のトレーニングに取り組んだ。回復後、日本代表選手の合宿に合流。「思った以上に、周りについていけなくて、へこみました」。ほとんどの選手が、ベストに近いコンディションで合宿に臨んでくる。そんな中、リハビリ治療で十分な練習ができなかった柏原さんは、周囲より出遅れたかのように見えた。「でも、自分にはちょっとだけ自信があったんです」。腕が使えない、上半身が動かせない、そんな制約がある中で、下半身を意識してトレーニングを重ねるうちに「より効果的に動けるフォームを見つけることができたんです」と、柏原さんはにこりと笑う。理想のフォームを身体に定着させ、ベストの状態に持っていけば勝てる。そう信じて試合に出場し続けた。そして徐々に調子を取り戻し、1月にはインカレのスプリントで優勝を果たし、滑り込みでオリンピックの代表選手のひとりとなったのだ。

 人生で初めてのオリンピックは? 「楽しかったです」。だが、自分の中に大きな課題が残ったという。「あの時はオリンピックに出場できた、嬉しい!という気持ちしかなくて…。まだまだだなぁと。上位入賞を狙う、そんな強い気持ちを持っていかなきゃいけなかったんです」。少し悔しそうな表情で話す柏原さん。「自分をより客観的に観察できれば、もっといい結果を出せた試合ができたのに…と、今でも思っています」。でもオリンピックに出場したからこそ、気持ちのあり方の重要性がわかった。「メンタルな部分で自分に必要なものがつかめたことは、大きな収穫だったと思います」。

 選手として強くなり、世界を目指したい。けれど同時に、人間としても強くなりたい、と柏原さんは話す。「周りをよく見て、いろんなことを吸収したい。そして周りに迷惑をかけない、そんなあたりまえのことをきちんとできる強い人間になりたいですね」と照れながら笑う。

 2年生になって、やっと早大生らしくなったかな、と首をかしげる。ラーメン、つけ麺が今、マイ・ブーム。「ラーメン食べ友」を大募集中の柏原さんだ。

柏原理子さん



第83回全日本学生スキー選手権大会にて

第83回全日本学生スキー選手権大会にて
▲第83回全日本学生スキー選手権大会にて
 提供:早稲田スポーツ新聞会

 
1223号 2010年7月8日掲載