こんな授業!どんなゼミ?
「研究倫理概論」
~土田友章教授がコーディネートする「よくわかる研究倫理」~

人間科学研究科 修士課程2年 中原 登世子


 土田友章先生が担当する「研究倫理概論」は、"霧に包まれた山"のような研究倫理の世界を整理し体系化し、端と端をつないで山の姿を見えるようにしてくれた授業だった。研究生活の中では「研究倫理」に関するさまざまなことを感じる。ある学生は期末レポートとしてA教授に提出した内容を、半分手直ししてB教授に提出。その後、仲間も提出済みの論文を部分的に変更し、複数の学会誌に投稿する…それはやはりおかしいと思う。さらに自分の文章が知らぬ間に引用されていたことも。それも自分の意図とは異なる使われ方で、驚愕した経験がある。また私は社会人学生なので仕事も持っている。業務上習得した知識や経験と大学での研究成果を融合して論文を作成したら、その成果物の知的所有権は全て所属組織に帰属することになってしまうのだろうか…?

 「研究倫理概論」を受講することで、このような「もやもや感」や「なぜ?」がすっきり解決された。上記のような疑問が「そうか、わかった!」に変わった。特に土田先生がコーディネートしたカリキュラム構成が、スムースな理解につながる。「このテーマならこの人」と選りすぐられた講師陣が、とても魅力だ。データのねつ造や改ざん、他人の文章やアイディアの盗用事件などの実例も多数紹介されている。

 研究倫理の概念が分かれば、卒論や修論だけでなくレポート作成の際にも、「こんな時どうすれば」と疑問が湧いたとき、適切な解が得られる。これで本当にいいのだろうか? と、自分の知的生産/再生産の行動を反省することもできるようになる。そして日常生活や社会で経験する「倫理性」にも、気付くことができるようになる。人間ドックで遺伝子検査を勧められたとき、「個人情報は保護されているのか」「分析業者との機密保持契約はあるのか」、また某機関の研究は外注業者に「丸投げ」しているだけなのではないか、など、社会生活にも大いに結び付けて考えられるようになるのだ。大学で学ぶ全ての学生に受講して欲しい授業だ。

人間科学学術院 土田友章 教授
▲人間科学学術院 土田友章 教授

~土田先生の推薦図書~
  『科学者をめざす君たちへ』
■『科学者をめざす君たちへ』 (第3版)
米国科学アカデミー(著)(池内了 訳)
化学同人(発行元)
1,400円(税別)
ISBN 9784759814286(2010/03/31)

■『ORI:Introduction to the Responsible Conduct of Research』
Nicholas H. Steneck(著)
Diane Pub Co(発行元)
ISBN 978-1422300787(2007/4/15)
(以下URLでも公開している)
http://ori.hhs.gov/documents/rcrintro.pdf


 
1221号 2010年6月24日掲載