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DVD『アポロ13』
人の力が手繰り寄せる一筋の幸運

三嶋博之
人間科学学術院 2007年4月嘱任
担当科目:生態心理学、
生態学的身体運動科学他

 1961年、ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を成功させたその年、ソビエト連邦との宇宙開発競争に遅れをとったと認識させられたアメリカ合衆国のジョン・F・ケネディ大統領は、月への人類の到達を目指す巨大プロジェクト「アポロ計画」の始動を決意した。その後の11年間にわたって、当時の貨幣価値でおよそ200億ドル以上を費やすこととなるアポロ計画は、1969年7月、アームストロング船長らの搭乗したアポロ11号による月面着陸を達成する。当時の私は1歳。リアルタイムでの記憶こそないが、その後も繰り返し報道されたこの成功エピソードは、宇宙と科学技術への憧れとして、自身の深い部分に染みこんでいる気がする。

 一方、紹介する映画『アポロ13』は、月面着陸を目指したものの、重大なトラブルによってそれを達成できなかったアポロ13号の飛行士たちと、その奇跡的生還を地上で支えたスタッフたちの奮闘を描いた物語だ。アポロ13号の重大トラブルは、打ち上げからおよそ2日後に起こる。極低温で酸素を封じ込めたタンクの一つが爆発したのだ。酸素は飛行士の呼吸を維持するだけでなく、水素と反応して水と電力と熱を供給する。月面到達の目標だけでなく、今や生命の維持さえも時間との戦いとなった飛行士と地上スタッフたちは、互いの信頼のもとに、一縷の望みにかけて最善を尽くしてゆく。

 "Successful failure"(成功した失敗)と評されるように、結果としてアポロ13号は生還する。それは一言で言えば「幸運」に違いないが、その背後には一見無駄とも思われるような多重の安全策を含む周到な準備と洗練された科学的知識があったこと、それは突き詰めれば「人の力」の集積であることに気づかされる。

 何事も背後に「人の力」があること。学生の皆さんへの、心理学者としての私からのメッセージだ。

ロック・オペラ「トミー」
アポロ13
発売元:
ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
価格: 1,800円(税込)
©1995 Universal Studios. All Rights Reserve


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1215号 2010年5月13日号掲載