先輩に乾杯!進路に迷ったときに読む、 身近な先輩へのインタビュー

東京スカイツリー建設に携わる建築現場の「指揮者」

山崎 淳さん

■やまざき まこと
1959年新潟県出身。1982年理工学部建築学科、1984年大学院理工学研究科建設工学専攻修士課程修了。1984年株式会社 日建設計に入社。入社後は構造設計に携わり、15年前から監理部門に移り京都迎賓館などの監理を担当。現在は東京スカイツリー(2011年12月完成予定、2012年春開業予定)の監理者として現場をまとめている。

東京都墨田区に建設中の東京スカイツリーは完成すれば高さ634メートル、自立式電波塔として世界一の高さとなる超高層建造物だ。東京タワーの高さが333メートルであることからも、倍近い高さの東京スカイツリーの規模が分かるだろう。未知の高さの現場で監理者として活躍されている山崎淳さんにお話を伺った。

「監理」の仕事とは?
 建築物を建てるときに必ず作成される設計図。この設計図には、施主が要望する機能や安全性、意匠などの要素が盛り込まれている。監理とは実際に造られていく建築物において、設計図どおりに実現されているかを確認する仕事である。監理者は施主や設計者の意図を汲み、設計図の内容を十分に理解した上で施工者に指示を出す。また、関連する多くの施工者をまとめあげる。それはまるで譜面の意図を汲んで演奏者に指示を出し、楽団をまとめて素晴らしい音楽を生み出す指揮者のようだ。

 監理者は特に正確な判断や調整を求められるため、設計部門で経験を積み、専門知識を熟知しないと務まらない仕事だ。また、建築現場では多くの人たちの協力が必要となるため、人間関係も大切だ。「専門知識をもっているからといって偉ぶったりしてはいけません。気軽に話し合えるような現場の雰囲気づくりも監理者の大切な仕事ですね」。

未知の高さに挑戦!
 東京スカイツリーの建設にあたっては、通常の建築物に要求される以上の安全性や耐久性を実現するために、新たな工法や材料が取り入れられている。また、日本国内では経験がない高さでの工事は、風や日射への対処なども新たに検討しなければならない。これらの懸案に対し「これまでの経験上の類推だけでは太刀打ちできません。常に新しい試みにトライして、現場で微調整しながら作業をする。その繰り返しです」と話す。

 このようなビッグプロジェクトの醍醐味とは?「前例のない挑戦ですから、このプロジェクトには建築分野で最先端の技術者が集結しています。そのような人たちから刺激を受けるのはとても楽しいですね」。現場に掲示されている高さの進捗を確認すると「おーって感じですよ」と笑顔で答えてくれた。

 ちなみに日建設計内には東京スカイツリーのプロジェクトの総括責任者をはじめ、各部門の要職には本学の卒業生が多いとのこと。まさに本学校友の英知が存分に発揮された建築物ともいえるのだ。

本学の施設にも従事!
 子どものころから理系科目が好きだったことや、親、親戚が建築関係の仕事に携わっていたこともあり理工学部建築学科に進学した山崎さん。その後本学大学院理工学研究科に進む。「学生時代は谷研究室に所属し、コンクリートの実験をやっていました。学部生の頃、ディプロマ(卒業設計)で先輩について、2~3日徹夜で手伝いをしたことも懐かしい思い出です」。

 山崎さんはかつて本学の総合学術情報センター建設の際の構造設計も手掛けた。当時を振り返り「母校の建物建設に携わることができてとても嬉しかったです。誇りに思います」。

学生さんへのメッセージ
  山崎さんは学生時代の勉強は必ず役に立つと話す。
「社会に出たときに、学生時代に学んだことが実務に反映されないと思われるかもしれませんが、いずれ必ず役立ちます。現役の学生さんには一生懸命勉強してほしいです。また仕事に対しての適性に疑問をもってあっさり仕事を辞めてしまう人も多いでしょう。しかし本当の適性がわかるには10年はかかります。あっさり見切りをつけるのはもったいないと思います」。

 東京スカイツリーは2012年に開業する。一番高い展望台は450メートルという高さ。眼下にはどんな景色が広がるのだろうか。「足を運んでいただいたお客さんに日本の技術力の高さや、『やればできる』ということが伝わればいいですね」と言葉を結んだ。

山崎 淳さん

完成予想CG
▲完成予想CG
提供: 東武鉄道(株)・東武タワースカイツリー(株)


ツリーの内部
▲ツリーの内部 写真提供:日建設計

3月29日に高さ338メートルに達し日本一に!
3月29日に高さ338メートルに達し日本一に!



高さの進捗を示す掲示
▲高さの進捗を示す掲示


東京スカイツリー設計概要
名称 東京スカイツリー
建設敷地 東京都墨田区押上一丁目
敷地面積 36,900m(但し タワー+東西街区)
高さ 634m
構造 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、
鉄筋コンクリート造
基礎工法 場所打杭、地中連続壁杭
着工 2008年7月
竣工予定 2011年12月


 
1211号 2010年4月8日掲載