2009年は台湾をはじめ、オーストリア、ベルギー、チェコ、スロバキアなどの海外での大会に参加するため飛び回っていた1年間だった、と振り返る安間さん。世界中のクライマーたちと勝負を競い続け、2008年には6位だったランキングを3位へと大きく更新した。
12歳の春に父に勧められ、始めたフリークライミング。3カ月過ぎたころから才能が開花、めきめき頭角を現し、2年目には日本ユースで優勝するまでになった。
壁のわずかなくぼみや、出っ張りを瞬時に感知し移動ルートを決める。「勝負時間は、だいたい6分間くらいなんですが、その間は身体は全身感覚器になって集中し続けています。そして頭の中では全身からくる情報を、ものすごいスピードで解析している感じです」ホールドをたどる作業は、まるでパズルを解くようだ、と話す安間さん。「だからやめられない。頭と身体がシンクロした時ほど、楽しい瞬間はないです」。
早く的確に登るには、細部にわたる筋肉が必要だ。だが、筋肉をつけすぎると体重が増え、登る時のハンデになる。フリークライマーにとっては筋肉はなくてはならないものでありながら、増えても困るものなのだ。高校時代、トレーニング方法について試行錯誤していた時、思いきってオーストリアでの合宿に参加。かねてより興味のあったトレーニング科学について学び、実践することができた。「まずは考え、トライする」ことが重要と感じた安間さん。「もっとその科学を自分のものにしたかった。それができるのは早稲田だけだったんです」。現在、堀野博幸准教授の下でコーチングと心理学を学んでいる。「自分が知りたいと思ったことを端的に教えてもらえる環境は、早稲田ならではのもの。大学自身のポテンシャルの高さが本当に嬉しいですね」。
全身を支える手のひらを見せてもらった。何層にも重なったまめが、安間さんの軌跡にも見えた。もし、スパイダーマンのような手のひらになれたらどうする?「そうしたらどんな大会でもぶっちぎりで優勝できちゃいますよね(笑)。うーん、じゃあその手のひら、やっぱりいらないです。クライミングは、“まずは考え、トライする”のが断然面白いので!」 2010年は最大のライバル、チェコのアダム・オンドラ選手を倒し、ワールドランキングのトップに立つ、と誓う安間さん。その笑顔は一点の曇りなく輝いていた。
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