十日町市松代・早稲田大学交流30周年記念事業 早稲田寄席~まつだい亭~

 本学と新潟県十日町市松代地域との交流が始まったのは、今から30年前のこと。松代セミナーハウスが完成してからは、「雪ほりボランティア」や「農山村体験実習」などで、多くの学生がゼミや合宿で訪れている。30周年記念事業としては、5月から地元の一般市民向けに開講された「早稲田松代塾」のほか、演奏会や理工学部による子供理科教室「ユニラブ」なども大盛況であった。10月の「全国棚田サミット」には本学学生も参加し、「農山村体験実習」で学んだことの成果を発表した。そして、10年に一度行われる「早稲田寄席列車」の様子を「早稲田大学落語研究会」と「早稲田大学マジッククラブ」にレポートしてもらった。

越後にて、笑いと温情、駆け抜ける
早稲田大学落語研究会 教育学部4年 本間 隆泰

 去る11月14日に新潟県十日町市の松代において「早稲田寄席列車」(昼)と「早稲田寄席まつだい亭」(夜)という行事に参加した。この2つの行事は新潟県十日町市の松代地域と松代にセミナーハウスを持つ本学の交流30周年を記念した行事だ。

 「早稲田寄席列車」というものはどういったものかというと新潟県の六日町と直江津の間を結ぶ「ほくほく線(北越急行)」という電車の車内に高座(舞台)を設けて電車の車窓を楽しみながら同時に落語とマジックを楽しんでいただくというものである。

 この早稲田寄席列車には早稲田大学落語研究会から5名と早稲田大学マジッククラブから3名が参加した。

 ほくほく線は駅と駅の間隔が長いため、常時約110kmで走る高速電車で、次々と風景の移り変わる車内で場面の変わらない落語をみっちり演じるのは爽快であった。マジッククラブの面々も、高速運転で揺れる車内でも安定感のあるマジックと巧みな話術を披露し、お客さんを大満足させていた。

 夜は松代の郷土資料館で「早稲田寄席まつだい亭」に参加した。昔からある民家を移築して建てられた施設で人の声をやさしく包み込む、温かい建物だった。

 夜の「まつだい亭」の後には、熱心に舞台を支えてくださった十日町市の役場の方からは差し入れをいただいたり、松代の温かいお客さんや北越急行の方々のおかげでとても楽しい時間を過ごすことができた。

 今後も松代と早稲田の交流が末永く続くように願っている。










   

紅葉を背に、笑いと驚きを
早稲田マジッククラブ 商学部2年 阿部 崇弘

 美しい紅葉に包まれる十日町市松代。本学との交流30周年記念行事として、マジッククラブ・落語研究会の公演を行うということで、マジッククラブからは有志の3名が参加した。道具や衣装など、まるで旅行に行くかのような大きな荷物で現地へ向かった。

 公演は新潟県内を走る「ほくほく線」の車内と「まつだい郷土資料館」で計2回行った。昼過ぎに出発した列車は2両編成で、高座や音響設備などが地元の方々の手によって本格的に用意されていた。普段、飲食店やパーティーなどでマジックを演じる機会はあるが、走る列車の中というのは初めてのことである。揺れや騒音もあり、これまで経験したことのない環境に緊張していたが、観客の温かい拍手に迎えられた瞬間、自然とリラックスできた。熱く真剣な視線を感じながら、トランプやロープなどを使ったマジックを披露。車内が笑い声や歓声が包まれると、こちらも楽しく安心して演技ができた。

 夜は郷土資料館での公演。日中の列車と異なり、館内は歴史を感じる閑静な佇まいである。演技の中で観客に手伝ってもらったり話しかけたりして、多くの地元の方と交流ができた。マジックが多くの芸能の中でも特徴的なところは、観客と双方向的な「対話」ができることであり、それが実感できる有意義な公演となった。

 せっかく新潟まで来たのだからと、翌朝は日本海まで足を延ばすことに。重い雲に覆われた空と肌を刺す冷たい風が印象的で、紅葉に囲まれた列車から観た風景とは別世界である。地元の方の勧めもあり、温泉で寛いでから帰路に就いた。

 翌朝の新聞『新潟日報』に、公演を観に来てくれた方の感想が載っていた。『落語も手品も上手で、ちゃんと勉強しているのか心配になるけど、また企画してほしい。』ということだった。

 学業を疎かにしてはならないということを肝に命じつつ、これからもマジックを通じて沢山の人と交流し、笑いと驚きを伝えていきたい。






 
1205号 2009年12月10日号掲載