ヘルシーサプリ 免疫機能のトレーニング

スポーツ科学学術院 教授  赤間 高雄

 

1.免疫とは
 今年は新型インフルエンザが社会問題になっている。インフルエンザをはじめとしたさまざまな感染症は、ヒトの健康にとって大きな脅威である。感染症から身体の健康を守る仕組みが免疫機構であり、いろいろな種類の免疫細胞が全身をパトロールし、体内に侵入するウイルスや細菌を撃退している。

2.運動は免疫機能を高めたり低下させたりする
 日常生活で最もよくかかる感染症は風邪(上気道感染症)なので、風邪のひきやすさを免疫機能の目安とすると、ほどほどの運動を行うと免疫機能が高まって風邪をひきにくくなるが、過剰な運動は免疫機能を低下させて風邪をひきやすくしてしまうことが知られている(図1)。運動不足の者は適度の運動を始めると免疫機能を高めることができる。例えば、特に運動をしていなかった高齢者が週2回の定期的な運動を継続すると免疫機能が高まるという研究結果がある。逆に、日常的に運動しているアスリートは、過剰な運動による免疫機能の低下に気をつけなければならない。練習量が増加する合宿などでは免疫機能の低下がおこり、その後に風邪などの感染症でコンディションを崩しやすい。また、過剰なトレーニングを継続することによってオーバートレーニング症候群という慢性疲労状態になることがあり、そのような状態では免疫機能も低下している。

3.運動が免疫機能に影響する理由
 温度やpHなどの身体内部の環境は、自律神経系、内分泌系、および免疫系の働きによって一定の状態に保たれている(ホメオスタシス)。運動に伴って、エネルギー源の消費、疲労物質の産生、体温上昇、などがおこり、身体内部の環境は大きく変化する。この身体内部の環境の変化に対しては、自律神経系、内分泌系、および免疫系が反応して、もとの状態に戻そうとする。このようにして、運動によって免疫系が影響をうけることになる。

 身体内部の環境の変化はストレスと言われる。ストレスとは、心理的なストレスだけでなく、運動もストレスの一つである。さまざまなストレスに対しては自律神経系、内分泌系、および免疫系が反応して、からだの健康状態を保っている。ほどほどのストレスは、自律神経系、内分泌系、および免疫系を刺激するので、これらの機能を高めるが、過大なストレスが長期間作用すると、これらの機能が疲弊して調子が悪くなり、からだの健康が保てなくなると考えられる。生理的ストレスである運動を適度に行っていけば、免疫機能もトレーニングすることになり、健康を維持する力を高めていくことができるだろう。

運動と上気道感染症(風邪)との関係

 

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1204号 2009年12月3日掲載