「将棋は9×9の盤面なのですが、この81マスの中に毎回、新しいことを発見できる。それが僕にとって最大の魅力ですね」。中村さんが将棋に魅せられたのは、まだ幼稚園に通っていたころ。父より手ほどきを受け、小学生の従兄弟と対戦。「当然なのですが、大負けしました(笑)。でも悔しくて。絶対、強くなってやる、と思いました」。
詰将棋の本を読んだり独学で学んではみたものの、やはり対戦することが大切、と地元の将棋クラブに通い始めた。「それまでは、将棋もいいけどサッカーも楽しいな、と思っている普通の小学生でした」。クラブで将棋を指すうち、意識が変わってきた。「プロ棋士になりたい」。そう思うようになったのだ。サッカーチームをやめ、将棋一本に専念することにした。「今でもサッカーは観るのも、蹴るのも好きです。でも、本気で上を目指すのなら、将棋に全力で向き合うべきだと思いました」。
中学から高校時代は、受験勉強と将棋のバランスの取り方を会得するまでが大変だった。「学校では将棋を指せないので、家でやるしかないなと。そうなると必然的に、学校の勉強をする時間はなくなるので、授業内容はその時間内で消化しなくては、とかなり必死でした」。とはいうものの、こんなエピソードを明かしてくれた。「授業の合間の短い休み時間に友達とする紙将棋に夢中でした。紙の将棋盤(ボールペンで書いてある)に、駒を書いたり消したり大忙しだけど、これが楽しくて。今、思うとものすごい集中力でしたね(笑)」。
念願叶い、高校在学中にプロ棋士に。将棋に専念できて、人間としての幅も広げられる大学は早稲田しかないと思い、進学を決めた。現在、田中ゼミで政治実証分析を学んでいる。「物事をいろいろな角度や視点で分析していく過程が面白いんです」。吸収することが山程あることも、手応えにつながるのだという。
10月に行われた第40期将棋新人王戦では決勝戦に進出。惜しくも広瀬章人五段(1143号『ぴーぷる』に登場。教育学部在籍)に敗れたものの「視野を広げ実力をつけて、もう一度この大舞台に立ちたい」と誓った。
子どものころからの憧れの棋士、羽生善治名人のように「プロを目指す子どもたちから目標にされるような棋士になるのが、将来の目標です」とまなじりを決した。
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