「日本文学の秘められた美や、主人公の繊細な心の描写に惹かれるんです」と監督の楊さんは入選作『kingyo』の製作意図を話す。川端、谷崎、芥川といった作家たちの作品に表現される幻想的な側面が好きで、多くの影響を受けたという。「中でも僕が大好きな川端康成の『雪国』と『金糸雀』からインスピレーションを受けたのがこの作品なんです」。ヴェネチア映画祭では世界中の映画界の第一人者から高い評価を受け“Best split!”と上演後に2度の拍手で賞賛された。「それも嬉しかったけど、憧れのアン・リー監督に会えたのも嬉しかった~」と茶目っ気たっぷりに楊さんは笑う。
一方、予算が100万円しかない映画製作を任されたプロデューサーの板垣さん。撮影日数の短縮、GITSの機材をフル活用、節約を重ねて、通常数千万円以上かかる製作費を超!低予算で実現。初めて取り組んだプロデューサー業に悩むことも多かった。「安藤紘平先生にいろいろお力添えいただいたおかげです」と微笑む。
そもそもこの二人の出会いは偶然。板垣さんは、東京藝術大学大学院生の映像作品を見たのがGITSに進学するきっかけとなった。「学生でもここまでつくることができるんだ!」と感激、自分でもやってみたいと思い『マスターズオブシネマ(オープン科目)』の担当教授、安藤先生に相談。GITSを紹介された。「アジア人として日本文化にはもともと興味があって…尊敬する是枝裕和監督の母校に映像表現を学べる研究科があると知って、早稲田留学を決意したんです!」と語るのは楊さん。そんな二人が意気投合したのは、教室でひとりぽつんとしていた楊さんに板垣さんが声を掛けたのが始まり。「話していくうちに好きなバンドや、映画が同じだって分かって…」作品を手掛けることに。
楊さんは「彼女の手腕なしには完成しない映画でした」と感謝する。一方、監督の誉め言葉に、はにかみつつも「自分は“才能”を支えることが好き。もっと経験を積んでいつか小津安二郎監督のような映画を作りたい。NHKでも力いっぱい頑張ります」と話してくれた。また二人は「自分の好きなものに正直になることが大切。チャンスは転がっていないから、自分で作っていくしかない。映画製作に一番必要なのは情熱です」と語ってくれた。いつか彼らが肩を並べてレッドカーペットを歩く日が来ることを祈りたい。
ヴェネチア国際映画祭『kingyo』凱旋上映会、決定!
12月15日(火)大隈小講堂にて(詳細決定次第、右記URLにて発表)
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