OG・OBインタビュー 

フリーアナウンサー 大塚 範一さん

記念すべき「1200号」を飾る今回のインタビュー。
フジテレビ朝のニュース番組『めざましテレビ』の司会、テレビ朝日の『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』へのゲスト出演などで活躍中の大塚範一さん。アナウンサー人生を振り返り、放送の裏話や続けることの秘訣をお伺いした。

【プロフィール】
大塚 範一(おおつか・のりかず)
1948年9月28日東京都生まれ。1973年本学政治経済学部卒業。同年NHKに入局。高松、広島、名古屋と11年間地方局勤務を経て、1984年東京に移り『サンデースポーツスペシャル』『クイズ百点満点』の司会や野球・フットボール・テニスなどのスポーツ実況を務めた。1994年3月NHKを退社後、同年4月から現在までフジテレビ『めざましテレビ』キャスターを担当。趣味はゴルフ。

学生運動の激化で講義が受けられず…
 早稲田での4年間を振り返ると、当時は学生運動の最盛期、セクトのバリケード封鎖や大学側のロックアウトなどで休講となる授業も多かったですね。大学に行ってもキャンパスが閉鎖されていて、仕方なく?麻雀屋に行ってしまったことなど、数知れず。でもそれまで門がなかった早稲田に門が作られ、時には警察官や職員が立ち並ぶ間を学生証を提示して学内に入って行くこともあって、悲しい思い出です。期末、学年末試験も殆どがレポート提出で、それだから卒業できたんだって…(笑)。ちなみに岩井方男教授(政治経済学術院、前学生部長)や坪井善明教授(政治経済学術院)は高校の同級生でね。特に岩井は高校の新聞部でも学部学科も一緒。数年前大隈講堂で会ってお互い年をとったことを確認しあいましたよ。政治経済学部では経済を専攻していましたが、今の仕事に就くことを考えたら、政治を学んでおけば良かったかな、と。これが最大の後悔です。

アナウンサーを志したきっかけ
 在学当時、野坂昭如、永六輔、青島幸男などの先輩諸氏がメディアで活躍されていました。学生運動の影響もあって、在野精神ではないけど、自然とマスコミ志望が固まっていきました。一方で、子供の頃から相撲や野球などのスポーツ放送が大好きだったことや、父親が若いときにアナウンサーを目指していたことなどが、後々の進路に大きく影響したような気がします。

夏の甲子園史上初の完全試合を実況?
 NHKに入ってスポーツアナウンサーを目指しました。神宮や高校野球地方大会のスタンドで、実況の練習をよくやりました。周りのお客さんに笑われながらも場数を踏んで技術を磨きましたよ。一番印象に残った実況は第64回全国高校野球1回戦、佐賀商業対木造高校(青森)戦。テレビの放送をしていました。佐賀商業の新谷博投手があとアウト1つで夏の大会史上初の完全試合という場面を迎えたんです。「俺も史上初の完全試合を実況したアナウンサーとして新聞に載るぞ!」と快挙達成を期待しながらその瞬間の歓喜のフレーズを考えていました。その矢先に、なんと新谷投手は27人目の打者に死球を与えてしまい一瞬で完全試合は幻に終わりました。フレーズも“夢の記録は潰えさりました”と何とも旧い表現に変わっちゃった(笑)。後にプロ野球に進んだ新谷投手にこの話をしたら、笑いながら謝ってくれましたよ。

フリーアナウンサーとして再出発
 85年からは星野仙一さんらと『サンデースポーツスペシャル』を担当しました。スポーツアナウンサーとして籍を置きながら、バラエティ番組『クイズ百点満点』の司会もしていました。日曜日のいわゆるゴールデンアワーの生放送を担当すると、土日のスポーツやオリンピックの実況もできなくなって本業のスポーツアナウンサーとして身の置きどころがなくなってしまったんです。6年担当した『クイズ百点満点』の終了が決まった頃、偶然なんですがフジテレビから朝の情報番組『めざましテレビ』司会の打診がありました。「望んでもめったにある話ではないから乗るか!」と思って人生の転機を1週間で決めましたよ。

ひとつのことを長く続けるコツは
 『めざましテレビ』では自分が進行役でありながらコメンテーター。取材が基本のジャーナリストとも違う特異な立場ですよね。しかも政治・社会からスポーツ・芸能までオールジャンル。日々自分なりに精一杯世の中の出来事を追っています。一人でも多くの人の共感を得るコメントや問題提起を心がけている反面、同世代から「同じ時代を生きてきたあいつらしいね」とも言われたい。難しいです。

 その結果、視聴者の信頼をかちえ、併せて共に働くスタッフや共演者の信頼も得る、それが一番の目標ですかね。

 『めざましテレビ』も16年目を迎えました。ここまで続けられた理由は明快ではありませんが、確実に言えるのは、やさしく、丁寧に、親切にを徹底してきたことでしょうか?新聞を読まない人が増えている昨今、このニュースに初めて触れる人が多いという前提で伝えます。個人的にはやりたい仕事に就けたことで辛いことも辛いと思わず、日々の仕事を心底楽しんでいるということでしょうか。

これからの夢、早大生へのメッセージ
 これからの夢?年寄りが伝えるスポーツ番組があってもいいなと。すぐ昔を振り返ったりして(笑)。全てをやり終えたら、また星野仙一さんとやりたいですね。

 学生のみなさんには、最低限の基礎知識を社会に出る前に仕上げて欲しい。世代を超えてコミュニケーションを円滑にするには、基礎知識を身につけておくことが大切なんです。あと、早稲田を卒業したらOB・OG同志で必要以上にベタベタしないほうがいい。校歌の歌詞にもあるけど早稲田は“♪集まり散じて”なんだから。独立独歩期待しています!












 
1200号 2009年11月5日号掲載