撮影をお願いすると、江里口さんの周りに、競走部のメンバーがさっと集まる。事前の打ち合わせなどしていないのに「イメージは所キャンのEXILE(笑)」と、ぴしっと決めてくれたのが下の画像だ。仲がいいんですね?「寮生活だからかな?みんないいやつばかりなんです」と江里口さんが話す。
子どものころは体が小さくて、バスケットやドッジボールなどが苦手だった。「かけっこだけは早かったんです」。中学・高校と陸上を続けていたが、フィジカル面で遅れをとり、高校2年でやっと標準のレベルに体格が追いついた。ぐんぐん調子をあげ結果を出すも、高校3年のインターハイでは準決勝を怪我で敗退。「自分のふがいなさに情けない気持ちと、これからどうしよう…という気持ちでいっぱいでした」。卒業後の進路にも迷っていたとき、ひとつの出会いがあった。「わざわざ地元の熊本に早稲田大学の競走部の方がスカウトに来てくれたんです」。嬉しくてたまらなかった。けれど今のままで、大学へ進学するのだけは嫌だった。納得のいく成績を出し、晴れて入学したかったという。「だから国体に出場して優勝しました!」と、会心の笑みを見せる江里口さん。
入学後は、勉学とトレーニングを両立させる日々。けれどすべて結果に結びつくとは限らない。大会で失敗することもあった。「そんなとき、必ず誰かが力になってくれました」。アドバイスを受けたり、話を聞いてもらったりしているうちに、自分自身を客観的に見られるようになった。「失敗した点を踏まえ、成長するポイントを探すように心がけるようになりました。こうした意識の変化も、寮生活ならではです」。
勝つことや、記録を意識するとそこで自分の体に限界を与えてしまう、と江里口さんは言う。だから10秒07の記録も、あくまでも通過点だ。「僕自身、まだまだいける、伸びると思っています」。
今は、自分の理想とする走りを形にする日々。将来は、熊本に戻り体育教員になりたいと思っている。「僕が早稲田で教えてもらったように、走ることが大好きな生徒がいたら、支えになっていろいろ教えたいですね」。
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