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ストレス
人間科学学術院 教授  野村 忍

 

21世紀は、「心の時代」あるいは「ストレスの時代」と呼ばれている。高度に発達した文明社会の中でさまざまな弊害が噴出し、人々の安全と健康が脅かされている。こうした現代ストレス社会の中で健康な生活を維持するためにはいろいろな工夫が必要である。

ストレスは、さまざまな形で人間に影響している。ストレスの影響は、不快な危機的な心理的変化(不安、緊張、過敏、抑うつ、焦燥、混乱などの情緒的反応)とそれに引き続く身体反応(疲労、倦怠、頭痛、動悸、息苦しさなどの自律神経症状)とそれらを解消するための行動反応(せかせか行動する、タバコを吸ったり、アルコールを飲んで気分を紛らわすなど)としてあらわれる。これらの反応のあらわれ方には、個人の体質、性格、ストレスの認知の仕方の差によって一定の傾向があり、心理的にあらわれやすい人、行動にあらわれやすい人、身体的にあらわれやすい人などの特徴がある。大切なことは、自分はどの方向にあらわれやすいかを知っておいて、日頃から自己チェックし、ストレスがたまっているなと感じたら早めにストレス解消に心がけるようにすることである。

 ストレス学説で有名なハンス・セリエ博士は、「ストレスは人生のスパイスである」とも述べているように適度な刺激は交感神経系を活性化し抵抗力をつけるように働き、ポジティブな面もある。これを「快ストレス」と言い、これに対して「不快ストレス」とは、過剰なストレス、慢性的に長く続くストレスである。

 心身ともに健康で良好な社会生活を送るためのポイントは、快ストレスの状態にいることである。そして、不快ストレスになっていると気づいたら、積極的な休養をとって心身ともにリフレッシュすることである。同時に、周りの人を見わたして、不快ストレス状態にある人がいたら、そっと援助の手を差し伸べたいものである。

   
1196号 2009年10月8日掲載