昔の科目登録がどのように行われたか、今の学生諸君はご存知でしょうか。筆者が在籍していたころは、ネットワークという言葉が専門家の間で使われ始めた時期でした。オンライン登録はおろか、マークシートによる自動登録すら想像できませんでした。
教室の大きさの制約のために希望者全員が登録できない科目があるのは、昔も同じです。では、どのように「希望者数>登録上限」問題を解決(?)したのでしょうか。答えは、原始的ながら一応公平な方法、つまり、同学年全員が一堂に会してその場で抽選するという方法が取られました。
記憶を頼りに説明すると次のようになります。筆者の所属学科(経済学科)は1学年800人以上在籍していたので、2教室(確か15-401と15-402)に分かれて着席します。教卓に座った事務職員がひとつの科目名を宣言し、科目登録用のカード(出席カードのようなもの)がその場で回収されます。希望者数が登録上限を上回ると、超過分だけカードが抜き取られて、落選者の学籍番号と氏名が読み上げられます。競争率が高い科目だと、当事者は結構なスリルを味わいます。読み上げるたびに嘆息が漏れ、読み上げ終了後に必ず大歓声が沸き起こります。中には、何度も名前を読み上げられて、しまいに拍手されるほど有名になる学生もいました。過去の経験から抽選対象科目を予想して事務方が準備を整えてきたとはいえ、いちいちカードで抽選するのですから、科目登録には数時間かかりました。
かくいう筆者は、他人が取りたがらない科目をわざと取るような天邪鬼でしたから、いつも対岸の火事のように抽選を眺めていました。3年生の科目登録当日、飼い犬の昇天を看取ってから教室に直行したせいで黙然としていた筆者を見て、「どうしたんだ」と心配そうに声をかけてくれた友人たちの顔を、今も思い出します。 |