先輩に乾杯!進路に迷ったときに読む、 身近な先輩へのインタビュー

「自分ならではの噺を演じていきたい」人気上昇中の女性落語家

川柳 つくしさん

■かわやなぎ・つくし(本名:熊井佳奈子)
千葉県市川市出身。本学教育学部国語国文学科卒業。3年半の出版社勤務を経て、1997年川柳川柳に弟子入り。前座・二つ目・真打とある3つのプロの階級の二つ目に、2000年11月に昇進。現代感覚の自作の新作落語を中心に活躍。趣味はウクレレ演奏、カラオケ、料理。

 今回ご登場頂くのは、落語家の川柳つくしさん。従来の落語にはなかったような、女性ならではのネタや時事ネタ、ウクレレ落語など独自の噺で、落語界に旋風を巻き起こす!

学生時代のつくしさんとは?
  つくしさんの落語との出合いは、学部3年生の頃。興津要先生の近世ゼミを選択したことが、一つの転機だという。「興津先生は『俺について寄席に来い。それが俺の講義だ!』と連日、私たち学生を寄席に連れて行きました。もっとも先生の真の目的は、寄席の後に自慢のカラオケを聞かせることだったようですが…。興津先生と寄席を回っているときは、落語は『演る』ものではなく、『見る』ものでした。確かに先生が落語の世界への入り口まで導いてくれたことは事実です」。しかしそのころはまだ自分が将来、落語を演じることになるとは思ってもいなかったという。

 「当時はいろいろなことにチャレンジしている普通の大学生でした」。学生時代は出版社の手伝いや、家庭教師のアルバイトのほか、「女の子バンド」でベースを弾いた経験もあるという。

 現在落語家のつくしさんだが、卒業後の約3年半、教育系の出版社に勤めた経験を持つ。「当時としてはそれが、自分自身の最善の選択肢だったのだと思います。会社員時代には国語辞書、ラジオ講座の教材、受験生向け雑誌などの編集に携わりました。小学生のころから新聞委員や放送委員をし、『小説家になりたい』などと言っていましたから、人に何かを発表したり、表現するという職業を幼いながらに思い描いていたのだと思います。だから学生時代にも、きっと『表現者』として近いところを追い求めていたのでしょうね」。

新作落語との出会い
  つくしさんにとっての大きな転機は、自己表現をふんだんに盛り込める「新作落語」との出会いだった。「特に新作落語の大家、三遊亭円丈師匠や春風亭昇太師匠からは、多くのことを学びました。古典落語は男性社会の中で、男性の演者たちによって何百年もかかって練り上げられて来た芸能なので、噺の内容も男性目線のものが多く、女性がそのまま演じるのは難しいものです。しかし、円丈師匠や昇太師匠の新作落語を聴いて、『落語って自分で作った噺を、自分の言葉で話していいんだ!』ということを知ったんです。これなら女の私にもできると思い、新作派の長老、川柳川柳に入門のお願いをしましたところ、『自分ならではの噺をするならいいだろう』ということで、弟子入りを許可されたわけです」。

高座はお客さんとの一体感を大切に 
  「初めての高座では古典落語を演ったのですが、ほとんど緊張しませんでした。教わったとおりに大きな声で元気よく噺を演るのが、前座の役目だからです」。そんな初高座から、もう10余年が経った。

 「前座のころは、古典の場合は『習った噺を披露する』、新作の場合は『作った噺を発表する』という感じでしたが、二つ目になってからは、『お客さんに噺を伝える』という気持ちで演っています。自分の会では現代的な噺を演ることが多いのですが、寄席のお客さんは比較的年齢層が高いので、新作もお年寄りにも分かる内容にするよう心がけています」。 

 「高座では、演者がお客さんと噺を共有できているかがとても大切で、噺のツボが伝わっているかどうか、が重要なのです」と、お客さんとの一体感を強調する。

これからどんな落語家を
目指しますか? 新作落語では、従来の落語にはなかったようなテーマの噺もたくさん演っているつくしさん。「例えば、女性ならではのネタだと“年齢を気にする事”“ダイエットの事”などや、時事的なネタなら“ネット社会”、“少子化対策”など、今まさに世間で起きているタイムリーなことをすぐに噺に反映することもあります。最近では、例の『酔っ払い騒動』の後日談を、三題噺で演りました」。

 また新たなチャレンジとして、「ウクレレ落語」を考案し、演っている。「これは落語のなかにウクレレ演奏や歌う場面を取り入れながら、噺を進めるというものです。また『ドラム落語』というのも演ったことがあります」。

 「私は依頼された仕事は全部請けるようにしています。『仕事』という一つの機会が訪れたのだから、経験にもなりますし、その場所には何か必ず新たな出会いもあると信じています。よく『長い前座修業は大変じゃなかったですか?』『ほとんど男性ばかりの落語界の中で、女性が生きていくのは辛くないですか?』などと聞かれることもあります。しかし私の課題は落語を演ることなので、そのための障害は、苦労の内には入りません。いかに自分ならではの噺でお客さんに楽しんで頂くか、そのことだけに日々心を砕いています」。人気上昇中の女性落語家つくしさんの活躍に期待しよう!








★つくしさんの落語を聴いてみたい方へ★ 
Webサイト ~「つくし情報」~
【URL】http://tsukushi-info.net/

■「アワアワアワー(2時間目)」
【日時】2009年7月30日(木)
19:00開演
【会場】杉並区立産業商工会館 第一集会室
03-3393-1501
【お問合せ】オフィス7F 03-3825-3849
office7f@yahoo.co.jp
■「花より落語2―川柳つくし勉強会-」
【日時】2009年8月30日(日)
14:00開演(13:30開演)
【会場】なかの芸能小劇場
(スマイルなかの2階)
【お問合せ】キュート 090-2564-8190
hanayori@cute-p.com
【URL】http://cute-p.com/(ネット予約)

つくしさんから後輩の皆さんへメッセージ

 まずは学生時代にぜひ、自分の「好きなこと」を見つけてください。それには、とにかくなんでもいいからやってみて、何をしている瞬間が一番楽しいのかを見つけることです。「好きなこと」が見つかったら、今度はその目標に向かって、どうやればそれが継続できるのか、一生の仕事に出来るのか、を考えて努力して下さい。目標に向かってゆく努力や行動は、苦労だとは感じないものですよ。自分の「好きなこと」を仕事にして一生懸命がんばる、私はその過程が人生の「幸せ」なのだと思います。


 
1193号 2009年7月9日掲載