私の専門領域は、老年学である。各国で行なわれている高齢社会対策を研究して、日本とは違った発想で行なわれている政策や事業を発見し、日本での実証研究につないでいる。
こうした研究をしているおかげで、世界中の老年学者や実践家と知り合いになることができた。また、社会制度の実態を知るためには、その国の市民生活に触れなくてはならない。だから、年に3回は海外に出かけている。
昨年は、貯めたマイルを使って、サンパウロまで10万マイル無料の旅をした。本当は、サルバドーレで開催される国際会議に参加するために旅行を計画したのだが、うっかり発表の申し込みをするのを忘れた。幸い、今回はどこの研究補助金ももらっていなかったので、あっさり観光旅行をする気になった。
目指すは、アマゾンでのピラニア釣りである。ところが、問題がもちあがった。観光旅行は、たいていパックになっていて、料金を払うといっても、1人では受け入れてもらえないのである。観光旅行をしたことがないので、常識がなかった。
このままでいったら、サンパウロに10日間滞在することになる。し
かも、海外情報で見たら、サンパウロは最大危険地域で、ホールドアップに出会ったら行動する方法が丁寧に書かれていた。そこで、とりあえずインターネットで安い航空券を探して、ペルーに行くことにした。
しかし、やっと到着したサンパウロの空港には、さらに衝撃的な事実が私を待ち構えていた。クレジットカードが、使えなかったのである。3万円の現地通貨とペルーまでの航空券を持って、夜中に銃声がきこえる町で、私がどう生き延びたか。実は、数々の危機を乗り越えて、マチュピチュ、イグアスの滝を制覇し、高齢者のインタビューさえしてしまうのだが、話の続きを聞きたい人は、研究室を訪ねて欲しい。
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