19世紀の最後の年である1900年4月、当時の科学界の大御所であるケルヴィン卿(William Kelvin)はイギリスのロイヤル・インスティチュートで講演を行い、現在人類が手にしている物理学で本質的に重要な問題はすべて解決されたとして物理学の終わりを宣言した。しかしその後20世紀に入ると特殊相対性理論、量子論という新しい物理学が
創設され、21世紀になっても物理学で解決できないことが多くあることが明らかとなった。
他方で21世紀の最初の年の2001年、アメリカ会社法学の最高権威者である、イエール大学ロースクールのハンスマン教授(Henry Hansmann)とハーバード大学ロースクールのクラークマン教授(Reinier Kraakman)は連名で「会社法の歴史の終わり」という論文を発表し(89 Geo.L.J.439)、アメリカ型コーポレートガバナンスである株主支配による会社統治の優越性は世界的に疑いもなく確立し、もはや理論的に実践的にも会社法についての論争の余地はなくなり会社法の歴史は終わったと宣言した。しかし2008年以降のアメリカの大不況とそれに伴う経営者に対する巨額の報酬問題、会社経営者に対する多くの訴訟の提起は、アメリカ型会社法はまだまだ終わってないことを明らかにした。
1991年のソ連(USSR:Union of Soviet Socalist Republic)の崩壊を誰も予測できなかったと同様に、誰も予測できないアメリカ社会主義連邦合衆国(USSRA:United Socialist State Repubulic of America)の成立も、最近の自動車産業に対する政府の支援を見るとあり得るかなと思われる。まだまだ研究者(特に社会科学)の仕事は終わらないようである。 |