わせだかいわい 

社団法人 俳人協会運営

俳句文学館

日本で唯一の俳句文芸専門の図書館
  蔵書数は本年2月末時点で句集・歳時記が52,282冊、俳誌が約312,949冊。俳句関連の資料がこれほど充実している所はほかにないだろう。俳人協会副会長で図書室長の岡田日郎氏によると、資料を求めて国立国会図書館や国文学研究資料館から紹介されてくる人も多いという。

 日本で唯一の俳句文芸専門の図書館である俳句文学館は、1976(昭和51)年に社団法人俳人協会の尽力により開館された。俳句のような短詩型文芸は手軽に各地でグループがつくられ、雑誌などが刊行されても、後日、散逸しやすいため、専門の資料収集館が欲しいとの関係者の要望から、建設運動が持ち上がった。現在は資料の閲覧や複写ができるほか、俳人協会主催による俳句講座も開催されている。海外の資料も充実!

 蔵書は正岡子規以降の近・現代の雑誌や図書が中心。子規、高浜虚子らが主宰し、夏目漱石の小説も掲載された俳句雑誌『ホトトギス』は、すべてそろっている(一部復刻を含む)。閲覧室では、現在毎月刊行されている俳句雑誌の最新号約300種が自由に読める。

 多くの貴重な資料の中でも特に目を引くのは、約3,000点ある海外俳句関係資料だ。英語・中国語・フランス語・ドイツ語など、世界各地の資料が所狭しと置かれている。岡田氏は「ここに来てみたら、母国語の自著が置いてあることにびっくりしたルーマニアの方もいました。奥さまが当人の知らない間に寄贈していたようです」と抜群の収集力を明かす。「ここに1カ月間通って博士論文を書き上げた海外の研究者もいますよ」。日本人のみならず、留学生や海外の研究者の利用も多いと岡田氏は語る。

俳句は一度ハマったらやめられない!!
  展示室には子規、虚子、河東碧梧桐らの自筆の色紙・短冊類があり、受付で申し込むと鑑賞できる。俳句に詳しくなくても、聞いたことのある名前ばかりが並ぶ展示には圧倒されるだろう。

 俳句文学館はまさに資料の宝庫。だが、この宝の山を生かすも殺すも利用者次第だ。最近は自分で資料を調べようとせず、電話で聞いて済ませようとする人が増えていると岡田氏。「調査というのは、しっかり自分で資料に当たって調べなくては意味がありません。多くの資料を公開している訳ですから、自ら原典に当たって調査をすることが大切です」と力を込めた。

 かく言う岡田氏は高校1年生の時、虚子の講演会で聴いた「俳句は美の追求にあると存じます」という一言に震撼し、以来、俳句に魅了され続けている。「一度飲んだらおしまい。『俳毒』とでも言いますかね」と笑顔をみせた。俳句文学館で「俳毒」を仰るのもいいかもしれない。

俳句文学館 図書室案内
【開室・閲覧時間】11:00~16:00(資料の貸し出しは不可)
【入室料】100円(俳句協会員は無料)
【複写料】1枚50円(申込み15:00まで)
【休室日】水・木曜日(そのほか臨時休室あり)
【アクセス】西早稲田(旧大久保)キャンパスより徒歩10分

貴重な海外俳句関係資料の書棚。
▲貴重な海外俳句関係資料の書棚。
右奥がお話を伺った岡田氏

杉田久女「谺して山ほととぎすほしいまま」(展示品)
▲杉田久女「谺して山ほととぎすほしいまま」(展示品)

高浜虚子「萩の枝の潦うつはつあらし」(展示品)
▲高浜虚子「萩の枝の潦うつはつあらし」(展示品)

   
1186号 2009年5月21日掲載