| 『早稲田ウィークリー』は、早稲田大学学生部が発行する学生向け週刊広報紙です。(授業期間中の毎週木曜日に発行) | ![]() |
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最新更新日 2009年5月21日 |
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薦!新任教員によるおススメ!本・映画・音楽・舞台 |
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草柳 千早 |
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私たちが出会う本には大きく分けると2種類ある。一読で事足りる本とそれではすまない本である。後者の中には何度も読み返し長くつきあっていく本もあろう。 ジンメルという人の本を初めて手にしたのは大学2年の終わりだった。3年から始まるゼミで早くも春合宿が企画され、群馬県水上温泉へと出掛けていった。その時の課題がジンメル著『社会学の根本問題』という、題名はすごいが本自体は旅行鞄のすき間に入ってしまうような薄い文庫本だった。「わからない・・・」。書いてあることが理解できない、読み進めるのが苦痛、どうしよう、というのが今でも記憶に残っている、最初の出会いなのだった。旅館のゼミで先輩のまとめを聞いても結局よくわからなかった。 あれから幾年月、卒業し就職しジンメルのことなどすっかり忘れて生活していた日々もあった。ところが今、彼の言葉をしみじみと幾たびも辿っている。この間に何があったのか。単純に、ある時ふと本を手にとり少し読んでみたら、あ、こんなことが書いてあったのかと少しわかる、またしばらくして少し読んだら、また少しわかる、前とは別のわかり方をする、だんだんその言葉に、頭ではなく身体が、感覚がついていく、じわじわとその魔力に引きこまれていく、といった感じであろうか。 例えば、「あるひとつの存在が、自分を包み込む領域の統一性に完全に帰属しながら、同時にまったく別な事物の秩序から要請を受けているということ」、「ひとつの要素が、ある有機的連関のなかに完全にとけこむようにして、その連関の自己充足性を分かち合い、かつ同時に、まったく別の生がその要素に入りこんでくるための架け橋となりうること」。これを「生の豊かさ」とジンメルは書く(推薦本に収録の「取っ手」(1905年))。大学2年生の私にはわからなかっただろう。こちらの成長と変化を辛抱強く待ち続けて語りかけてくる、そんな本に大学でもう出会いましたか。 |
ちくま学芸文庫 1,155円(税込) ※各キャンンパス生協に 「ウィークリー薦 コーナーが設置さています」 |
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1186号 2009年5月21日掲載
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