「大隈講堂の時計塔が好きだったから」。佐古田さんが本学進学を決意したのはそんな些細な理由からだ。受験の日に目の当たりにして、どっしりとしたたたずまいが気に入ったのだという。「あと、全学年の大部分の早大生が同じキャンパスで過ごすという仕組みに強く魅かれました。多種多様な学生と交わる絶好の機会と考えたんです」
その期待にたがわず、大学では国籍・年齢・性別を問わず交流し、多様な価値観を吸収する毎日を送っている。在学中に、国際交流ネットワークPUNKdを友人と設立して異文化交流の新たな地平を開拓した。日本における国際交流に加え、東アジアや中東など世界各地を旅して回っている。「まだまだ入門編。もっと世界を見たい」。資金をためるべく、建設会社でのアルバイトにもいそしんでいる。
実は今回のスピーチコンテストも、海外へ行くために応募した。入賞者には香港訪問の特典があるからだ。「こういうイベントは大学生ならではのチャンス。費用が安い上に、面白いツアーを体験できます。今回はたまたま英語スピーチでしたが、この香港杯以外にも学生が海外に行く機会はあちこちに用意されています。利用しない手はないと思って」。スピーチの課題である「香港」を雄弁会会員や友人との議論と絡めて『東アジアの経済統合』について論じた。「雄弁会を筆頭に、真剣に議論できる友人に恵まれた僕は幸運でした。今までしてきた議論が、今回の優勝につながったと考えています」。うまく自分の分野に持ち込めれば、海外への道は簡単に開けるのだと佐古田さんは語る。
「香港は、常に変化し続ける特異な場所。僕も幼いころ住んでいましたが、今回久々に訪れたらその姿を大きく変えていました」と佐古田さん。香港の持つ多様性、懐の深さを愛しながらも「一方で、伝統や文化など『変わらないもの・残してゆくもの』を考えてゆかなければならない」。そんな問題意識をこれからも研究すべく、革新と伝統が対立する中東を始めとしてさまざまな地域に赴きたいと考えている。将来は中東に行く機会の多い、石油や天然ガスなどエネルギー業界への就職を希望しているのだそうだ。
「もちろん、自分を見ずに他人ばかり見てもしょうがない。卒業までの1年間は日本を見て回って自文化を再発見したいです」と瞳を輝かした。内と外の両方を見た後の佐古田さんがどんな道に進むのか、これからの1年が楽しみである。 |