とっておきの話 

ヤンキースタジアムでアメリカ国歌を歌う

商学学術院准教授 市田 敏啓

留学時代の最後の思い出は2004年の5月にイチローや松井秀喜選手たちの目の前でアメリカ合衆国の国歌を歌ったことだ。

 僕はかなり多趣味で、スキーもスカッシュもスキューバダイビングもやるけれど、親しい人は僕が大の歌好きであることを知っている。しかも歌や音楽の好みもかなり幅広いときている。聞くほうではオペラ(クラシック全般)、ミュージカル、ポップス、ロック、演歌どれも聞くし、自分でもオペラ(歌曲)、ポップス、ロック、演歌どれも歌う。最近ではゼミ生たちとカラオケに行くとコブクロやボンジョビ、石川さゆりや氷川きよしなども歌ったりする。でも本当に楽しく歌えるのは人と一緒にハーモニーを奏でることだ。

 ニューヨークの大学院に留学していた時には、日本人ビジネスマンを中心とする男声合唱団(ニューヨーク・メンズ・クワイアーNYMC)に所属していた。それまで中学、大学時代と混声合唱はやったことがあったが、4部男声合唱は初めてだった。トップとセカンドのテナー、バリトン、ベースの4声である。自分は声が高く(低音がでないので)トップテナー担当になった。混声合唱と比べて男声合唱は狭い音域に和音を重ねるので、とても重厚でかつ複雑な和音構成を作ることができ、音楽的にとても面白いと感じ、大学院時代最後の2年間は博士論文を書きながら男声合唱にもかなり力を注いだ。

 NYMCでは英語で歌うゴスペルやミュージカルの曲、そして日本語で歌う合唱曲や演歌を編曲したもの、SMAPの『世界に一つだけの花』の合唱編曲版などを歌ったりした。年に数回のコンサートと病院でのクリスマスキャロリングなどを行ったりしたが、一番記憶に残るイベントはなんといってもニューヨーク・ヤンキースのヤンキースタジアムでマリナーズ戦の前に「星条旗」の合唱をしたことだろう。

 イチローや松井、長谷川などの日本人選手が見守る中、また3万人以上の大観衆のなかで米国国歌を歌った経験はその2日後に行われた博士号授与式よりもはるかに思い出深い経験となった。


ヤンキースタジアムにて米国国歌 「星条旗」を熱唱
▲ヤンキースタジアムにて米国国歌 「星条旗」を熱唱

 
1175号 2008年12月4日掲載