私のイッピン 芝グラウンドの夢に向かっての巻

今回登場してくださるのはスポーツ科学部2年の太田健児さん。現在ア式蹴球部副務として部の運営に忙しい毎日を送っている。「サッカー好きな人だったらたぶん、持っているだけで元気が出るかも(笑)」と見せてくれたのは川淵三郎日本サッカー協会名誉会長の直筆色紙。「もちろん、僕にとっても宝物」である色紙について話してもらった。

 雑誌のインタビュー企画でア式蹴球部のOBであるということから、川淵名誉会長と話をする機会を得た太田さん。いろいろお話をしているうちに、自分の頭の中に「緑の芝が一面にひろがるグラウンドのイメージがぱーっと広がってきたんです」

  太田さんは小学生のころから筋金入りのサッカー少年だった。高校合格のごほうびとし て、両親にプレゼントされたイギリスサッカー観戦旅行の時、街中のあちこちに緑色の芝グラウンドがあることに気づいた。そこでは少年少女のみならず、幅広い年齢層の人がサッカーを楽しんでいた。「おじいさんまでもが、楽しそうにボールを追いかけていたのが印象的でした」

  さすがサッカー発祥の国…と思いつつ「そうか、芝グラウンドが身近にあるから誰でもサッカーができるんだ」と気づいたのだ。
  川淵名誉会長のJリーグ創成期の話を伺っているうちに、太田さんは改めて思った。「日本もイギリスのように芝グラウンドを増やせば、今よりずっとサッカーがおもしろくなるんじゃないだろうか」

  そんな太田さんに、川淵名誉会長は『夢があるから強くなる』という言葉を贈ってくれた。Jリーグを立ち上げたころ、川淵名誉会長ですら周囲から批判され、協力者も少なかったという。けれどJリーグをここまで大きくできた。自分だって「芝グラウンドを増やす」ことに向かって何かできるはず。選手を引退し、サッカー部マネジメント業務に専念している今の自分も、描いている大きな夢に近づくための歩みのひとつだと思っている。

  いただいた色紙は、部活の仲間に当然自慢した。「寮の中を背中に貼って歩きまわりました(笑)」。けれど自慢の品である以上にくじけそうになったとき、その言葉に励まされるという。「インタビュー時の川淵さんの顔や、その時の気持もいっしょに思い出して、自分に喝を入れてます」。日焼けした顔をほころばせながら、太田さんは話してくれた。


川淵三郎日本サッカー協会
▲川淵三郎日本サッカー協会
名誉会長の直筆色紙


東伏見の芝グラウンドにて
▲東伏見の芝グラウンドにて

 
1171号 2008年11月6日掲載