何をしてるの?  「一人では決してなれない笑顔」を求めて30年

ビートルマニア30周年記念祭実行委員長・会計 第一文学部4年 丸山 眞弘


 「ビートルズの魅力とは?」と尋ねられたとき、いつも思い出す言葉がある。

 「僕はね、ビートルズのあの楽しそうな感じが好きなんだよ」―事故で亡くなった友人S君の言葉。東大生のドラマーだった彼とは、ビートルズ・サークルの合同ライブが縁で知り合い、一緒に演奏し、大いに語り合った。僕はいつもこの言葉の意味を考えながら、ビートルズを演奏する。「楽しそうな感じ…」。これを失っては、ビートルズにならない。 ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スター。この4人は、いずれもソロでやっていける個性的で優れたミュージシャンだ。だが、その誰が欠けてもビートルズにはならない。ライブでは、4人は最高の笑顔で、これ以上ない自由な空気を振りまきながら、息ぴったりに身体を揺らす。

 ポールは、ジョンと全編ハモる「Baby's in black」について「どちらが主旋律かなんてどうでもいい。できあがった曲が良ければ…」と言う。一見エゴの固まりのようなジョンも、他のメンバーが歌うとき、ギターで軽快なリズムを刻みながら、自分が歌う時以上に嬉しそうな顔をする。「どうだい?俺の仲間を見てくれよ!こんなにすごいんだぜ!」と自慢しているかのようだ。だから僕らも、自分の大好きなメンバーと大好きな曲を演奏したい。僕が歌うときは、僕の好きな人が一緒にハモってくれる。その人が歌うときは僕がハモって力になれる。僕はこれこそが、ビートルズだと思う。

 ビートルズの音楽には、「自分たちの作った音楽で世界を変えられる」という、60年代をリードした4人の若者が描いた夢が詰まっている。ヨーロッパをめちゃめちゃにした大戦が終わり、新しい世界を求めた時代を生き、自由と平和を訴え、自分たちの音楽を追い求めた。1人ではなく、4人で一緒にだ。だからビートルズは、あんなに楽しそうで、明るい。それが世界に熱狂的に受け入れられた。

 1978年2月、ビートルズのそんな暖かさに、意識的にか無意識的にか惹かれた先輩たちが集まる。「早稲田ビートルマニア」の誕生だった。気がつくと、ビートルズサークルは、早稲田だけではなく、東大にも慶應にも明治にも青山にも生まれていて、互いに親交が深い。僕らの「早稲田ビートルマニア」は、今年30周年を迎えた。早稲田祭の記念ライブには、他大学のバンドも参加してくれる。


大隈講堂地下入口前にて盛り上がるバンドメンバー。右端が筆者
▲大隈講堂地下入口前にて盛り上がるバンドメンバー。右端が筆者


 
1170号 2008年10月30日掲載