05年のNHK全国大学放送コンテスト、朗読部門で初優勝。朗読した演目は、戦時中にのたうちまわりながら生き抜く男性の一人語り『四日間』だった。「それまでは、自分の声質にあった女性らしい演目を選んでいました。かつての自分だったら考えられないような、大胆な挑戦でしたね」と福元さんは振り返る。高校時代は部長として放送部を取り仕切り、それぞれに合う役を合理的に割り振っていた。アナウンスでは数々の賞を受賞したが、朗読では思うような成果が出せていなかった。「『声』を取ったら何も残らないと、どこか焦りも感じていました。でも、大学でミュージカルサークルに所属したことで気持ちが柔軟になったんです。大家族のようなあたたかいサークルの中、お互いの声を聞き合うことの大切さを学びました」
新しい表現の幅を楽しむかのように、06年の夏に行われた「朗読の日」特別公演では、あさのあつこ著の『ガールズ・ブルー』を朗読。「年配の方が多い朗読会なので難解な演目を選ぶ人が多いのですが、私は今の自分しか読めないものを読もうと思って・・・」。放送コンテストとはうって変わり、若さはじける朗読に、「青春時代を思い出した」と涙するお客さんもいたという。
卒業後の進路は意外にも朗読やアナウンスとは関係なく、医療従事者専門の人材派遣会社。正面から人と向き合い、より良い方向へ導く「コンサルタント」という職業に魅力を感じたからだ。「トップに立つよりも、サポートする方が向いているんです。そういえば、『若草物語』の長女メグも、おてんばな次女、内気な三女、おしゃまな四女をまとめるサポート役。私の名前もちょうど『めぐ』なので、そういう性格なのかもしれませんね(笑)」。今まで取り組んできたことと全く畑違いの職場。潔い決断だが、「発声の練習は一人でも続けられるので」と笑顔を見せる。
「早稲田の大先輩に『いつどんな出会いがあるか分からないから、学生でも名刺を持った方がいい』と言われたことがあります。積極的に動くことが大事というメッセージだと感じました」。新しい世界に臆せず飛び込みたいと、生き生きとした瞳で言葉を結んだ。 |