鮮やかな新緑のグラデーションの中を激しく飛沫をあげて流れる渓流。トレーニングを終えた竹下さんがカヌーを浅瀬に着け岸辺に上がって来た。流れの激しい渓流だけど、怖くない?「最初のころはすごく怖かったです。でも毎日カヌーに乗っているうちに、水の音を聞きながら、水面から風景を見ているのが一番落ち着くようになっちゃいました」
父の影響で8歳からカヌーを始め、12歳で大会デビュー。15歳でジュニアのナショナルチームに選抜され、初めて国際大会での入賞を意識した。世界の選手と競い合った時、上には上がいる、と思った。「もっと上に行きたい」。アテネオリンピックの中継を見ながら「次は絶対出る」と誓ったという。
高校時代は、カヌーとパドルを抱えてナショナルチームの仲間といっしょに海外遠征三昧の日々。「カヌーの重量が約10kg。それにパドルを加えると飛行機の重量制限ギリギリなんです。だからコンパクトな荷造りは得意です(笑)」
18歳、ナショナルチーム最後の世界選手権でセクション認定9位になる。日本人女子初の記録だ。決勝戦に初めて出場。「すごく気持ちよく戦えました。でも結果は10人中9位。この結果の理由がわかっていただけに、余計悔しかった。もっと上に行かなくちゃ!と改めて思いました」と、表情がきりっとひきしまった。
北京オリンピックへの出場権は昨年開催の世界選手権で、100分の1秒の僅差で最後の枠にすべり込んだ。「次のロンドンオリンピックに出場できるように、北京で少しでもいい結果を出したい」と竹下さんはきっぱり言い切る。
近ごろは大学の授業も面白くなってきた。「自分の競技内容を科学的に分析したり、学んで得たことを実践できる学科は他にないと思います。ゼミに参加するのが今から楽しみ」。爽やかな川風に吹かれながら「カヌーと同じくらい山や川が好き。一度、御嶽渓谷に涼みに来てください」とにっこり笑った。
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