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『ストレスに負けない生活―心・身体・脳のセルフケア』熊野宏昭著
自分をよく知り、自分を支え、自分を癒す

■鈴木 伸一
人間科学部准教授
2007年4月嘱任
担当:臨床心理学(認知行動療法)・
臨床ストレス科学・行動医学

 みなさんは楽しく大学生活を送れているだろうか。「はい」と応えてくれていることを願うが、実は大学生という年齢期は、うつや不安障害、その他精神疾患など、心の不調が生じやすい時期でもある。その背景には、子どもから大人へ変化していく過程に抱きやすいさまざまな葛藤からくるストレスがある。

 ストレスという言葉を知らない人はいないが、自分のストレスに目をむけ、上手に対処できている人はあまり多くない。ストレスとの付き合い方は、結構厄介なものである。気にしすぎても駄目だし、気にしなくても駄目。一生懸命になりすぎても駄目だし、あきらめても駄目。ストレスが多すぎるのはもちろん良くないが、全くないのも問題なのである。いわば、適度に、柔軟に、多様に付き合うことがコツといえるだろう。

 この本は、わたしたちの生活の中で生じるさまざまなストレスへの上手な対処法についてわかりやすく教えてくれる。また、ストレスに関する最新の研究(脳科学研究、生理学研究、心理学研究など)もやさしく解説してくれているので、「脳のしくみ」や「心の神秘」に興味のある人も楽しく読めるだろう。さらに、著者の熊野氏は日本でもトップクラスの心療内科医で、これまで多くの患者さんの治療や心のケアを行ってきた。本の中でもいろいろな症例を紹介しながらいろいろな悩みや苦痛にどのようなケアを行っていくかを解説してくれているので、カウンセラーや教師を目指す人も必読である。

 みなさんがこの本を読んで、ストレスに負けない健やかな心と、仲間を支えることができる豊かな術を身に付けてもらえることを期待したい。

ストレスに負けない生活
2007年 ちくま新書
680円(税込)



※各キャンンパス生協に
「ウィークリー薦 コーナーが設置さています」
   
1160号 2008年6月19日号掲載