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DVD『スミス都へ行く』 監督:フランク・キャプラ KYで何が悪い!

■高口 洋人
創造理工学部准教授
2007年4月嘱任
担当:広域環境論、建築表現Ⅰ

 「スミス都へ行く」は戦前の映画である。少年団の団長スミスは、ひょんなことからアメリカ上院議員になってしまう。理想に燃えるスミスは故郷の美しい小川のほとりに都会の少年少女のための国立キャンプ場を計画するのだが、そこには利権にまみれたダム建設の予定地だった。

 そのことを知ったスミスは不正を告発しようとするのだが、逆に罠にはめられ上院を追放されそうになってしまう。信頼する同僚にも裏切られ、落ち込み、彼は故郷に帰ろうとする。しかし故郷の人々にこそ身の潔白を証明しなければと議会での演説を通じて不正を暴こうと決意する。彼は、不正の事実を切々と訴え、合衆国憲法を朗読し、何時間も何時間も演説を続ける。上院では中断しない限り、演説を続けられるというルールがある。故郷の人々に真実が伝わるのを期待してスミスは声を枯らして語り続けるのである。背景はどこぞの県のようで、今見ても十分面白く、しかも泣ける映画である。

 この映画のポイントは言葉の持つ力である。スミスは演説以外でも、自由や平等、民主主義といったアメリカ建国の理想を語り続ける。誰もが共感する理想、そしてそれを愚直に語り、実践しようとする彼に、人々は理想の人間像を見いだし心打たれるのである。また、その舞台回しとしての議事堂やリンカーン・メモリアルの使い方が実に上手い。空間の演出により言葉の力が倍増する好例といえる。

 言葉は思ったり書いたりするだけでなく、声に出してこそ力を発揮するように思う。男のおしゃべりはみっともないという向きもあるが、中身があれば、断然声に出して語るべきだ。きっと映画のように言葉の力が、夢の実現を助けてくれるだろう。

スミス都へ行く
1939年 アメリカ公開
発売・販売元:(株) ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 2,990円(税込)


※各キャンンパス生協に
「ウィークリー薦 コーナーが設置さています」
   
 1159号 2008年6月12日号掲載