進路選択物語 

教育学部(2008年3月卒) 金子 菜絵
進路先:独立行政法人 国際協力機構(JICA)

私の進路「選択」

  大学1年生の時に、海外でのボランティア活動に参加した。それを知った相手から決まって言われたのは「すごいね」の一言。言われるたびに、違和感を覚えた。すごいね、という言葉の裏に、「私には関係ないけど」という言葉が暗に含まれている気がして、線引きをされているように感じた。自分の世界と、あなたの世界は同じではないんです、と。

 その後、時間があれば、自分が面白いと思ったことには必ず首をつっこんだ。旅行中に国際交流のイベントをしたり、都内の小学校で子どもと遊ぶ活動をしたり、いろんな人に夢を聞いて、集めた夢を展示する企画もした。その多くはボランティアと分類されるものであったけれど、「ボランティア」だと思ってやっていたのではなく、やってみたら実は「ボランティア」と呼ばれるものだっただけのことだ。それでもやはり、「すごいね」と言われ、その度に違和感を感じていた。

 面白いことに、今の職場に内定をもらったとき、周囲から言われたのも「すごいね」の一言だった。そんなとき必ず言うようにしていたのは、「皆さまの税金で食べさせていただきます」という一言。あなたとつながっているんです、他人事ではないんですというメッセージを込めた、私なりのささやかな抵抗である。効果のほどは、よくわからない。

 国際協力、というと大方の人にはなじみのないものだろう。しかし、意識せずともその気はなくとも、日常は世界各地とつながっている。本当は、遠くなんてない。そこを、いかに身近に感じてもらえるか。もしかしたら、私が今の職場を選んだのは、学生時代に自分の内に溜め込んでいた、ちょっとした反発心を、どうにか掬い取りたいという気持ちがあるのかもしれない。私の世界とあなたの世界はつながっているんです、と。

 進路を選択する。よく使われる言葉だが、私の場合選択したというよりも、気が付いたらここにいたと言う方が正しいような気がする。しかも、あんなにふらふらと寄り道をたくさんしてきたにもかかわらず、振り返ったら実は真っ直ぐな道であったことにふと気付くのである。



▲大学1年生の時にボランティアで訪れたネパールに
卒業前に再び赴き、現地の子供たちに再会した時のもの。
前列右から二番目が筆者。



 
1158号 2008年6月5日号掲載