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「進化しすぎた脳」池谷 裕二著
最新脳科学を知れば世の中の見え方が変わる

■大島 登志男
理工学術院教授
担当:生命科学概論、脳神経科学特論など

  「脳トレ」ブームからしても、我々は自身の「脳」がいつまでも若々しく、記憶力抜群であるように願っているのである。随分昔のことなのに鮮明に覚えている事柄はどのように記憶されるのかという記憶のメカニズムも、ようやく少しずつ分かって来たに過ぎない。人類が宇宙についての知識を深め、地球外の惑星へ探索用ロケットを飛ばす時代であっても、我々の「脳」がどのようにして「こころ」を生み出すのか、実のところまだ良く分かっていないのである。「脳」がどのように物事を記憶し、「こころ」を生み出すのか、その仕組みを明らかにしようとする脳科学のここ10数年の進歩はめざましく、「脳」の不思議についてのテレビ番組も多いが、こうした「脳科学」に関心のある方に推薦したいのが、本書である。

  「進化しすぎた脳」とは、我々の脳は充分使いこなせていないほど余裕を持っている、ということなのだが、本書は第一線で活躍する若き脳科学研究者の池谷氏が、平易な言葉で専門用語をなるべく用いず、最新の脳科学について語っている優れた脳科学の入門書である。通常の教科書とは異なり、「脳」と「コンピューター」の違いは?「意識」と「無意識」の意外な関係、「脳」のあいまいな記憶の仕方、といった切り口で、話が進められていく。取りあげている事柄はトピックス的でありながら、著者の幅広い知識により脳科学全般がうまくカバーされている。

  「我々の見ている世界は我々の脳が作り出したもの」と言われても、にわかに信じ難いかもしれない。いまだ内なる未知の領域である「脳」について、本書を通じて知ることにより、あなたの物の見方は必ず変わるはずである。

2007年 講談社ブルーバックス
1,000円(税込)


※各キャンンパス生協に
「ウィークリー薦 コーナーが設置さています」
   
1158号 2008年6月5日号掲載