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『白隠―禅画の世界』芳澤 勝弘著
白隠の禅画で元気をもらう

■浅井 京子
早稲田大学會津八一記念博物館特任教授
2004年4月嘱任
担当科目:博物館学実習

 白隠慧鶴(1685~1786)は近世臨済宗中興の祖といわれ、地元静岡では「富士のお山に、 原の白隠」と敬愛を込めて称される禅僧である。この白隠、たくさんの著作とともに膨大な数の書画を残している。生涯に描いた(書いた)数は一万点を超えるともいわれるが、三千点は現存していると思う。たくさんの画題で描いているが、大きくは達磨・釈迦・観音・祖師図といった寺の法会に際してなど特別な意味を込めて謹厳な思いで描いたものと、布袋をはじめとする福神や戯画と称される前者よりやわらかなものがある。文字絵(「へのへのもへじ」)のように字で描いた絵)や留守模様(例えば、松と梅をそえた鳥居で天神を表す)といった遊び絵もある。

  白隠画は同時代の画家たちのものと並べても遜色なくおもしろい。もちろん白隠はプロの絵描きではない。でもまず、白隠の絵は観ているだけでおもしろい。そして観ているうちにふっと心に入り込み、身を律して生きる大切さをささやいたり、気持ちが萎えているときに弱さの元を見据える元気をあたえてくれる。「動中工夫、勝静中百千億倍」などの白隠の言葉を座右銘とした実業家も多い。冨岡美術館の基を築いた冨岡重憲氏もその一人である。また永青文庫(本紙P4)のわが国有数の白隠コレクションは、虚弱であった細川護立氏が『夜船閑話』を薦められ、そこに書かれていることを実践して健康を得、それで白隠の書画を集めたものといわれている。白隠画を観ていて気になり始めたら、芳澤勝弘著『白隠 禅画の世界』を読んでみてほしい。そこには白隠画を読む手段が説かれている。そしてさらに白隠画に興味をもったら、昨年末、會津八一博物館主催で開催されたシンポジウムの報告書も読んでみては?(先着50名に博物館の受付で進呈)

※ 今号「わせだかいわい」で紹介した『永青文庫』では6月28日(土)より『夏季展「白隠とその弟子たち」』を開催予定です

2005年 中央公論新社
861円(税込)


※各キャンンパス生協に
「ウィークリー薦 コーナーが設置さています」
   
1157号 2008年5月29日掲載