「奨学金」を考える

早稲田大学の奨学金制度は他大学に比べてはるかに充実している。奨学金は、毎年行われる「学生生活調査」(現在、実施中!)の結果など、多くの学生の声を反映して充実されていく。昨年からは、「創立125周年記念奨学金」がスタート。奨学金を希望する人は、何らかの奨学金を受けることができるようになった。本学学生部奨学課の斉藤鉄生課長に早稲田大学の学内奨学金の特徴と奨学金Q&Aで解説してもらった。

早稲田大学の学内奨学金はここがスゴイ!

1.学内奨学金はすべて、返済不要の給付奨学金!
  大学独自で実施している奨学金制度を「学内奨学金」と呼ぶ。早稲田大学の学内奨学金はすべて給付(卒業後の返還不要)奨学金となっている。他大学の学内奨学金は、依然として貸与(卒業後の返還要)奨学金が主流だ。

2.「創立125周年記念奨学金」は、スゴイ!
  これまでの学内奨学金は「大隈記念奨学金」、「小野梓記念奨学金」を大きな二本柱として運営されてきたが、多くの学生の要望に応えられるように、2007年の創立125周年を記念して「創立125周年記念奨学金制度」が新たにスタートした。大学は、この奨学金のために毎年6億円という大規模予算を計上している。
  これまでの学内奨学金は全学的な統一基準で一律に運営されて来たが、「創立125周年記念奨学金」は各学部・大学院の実情に基づいて個別に運営される画期的な制度となっている。

3.早稲田大学独自の「早稲田カード奨学金」とは?
  校友(早稲田大学の先輩・教職員)が特別に持つことができるクレジットカード(一般のVISAやUCなどのカードをそのまま転用できる)が「早稲田カード」だ。他大学も含め、学内奨学金では、基金の利息や大学の経常費の一部を奨学金の原資とするのが一般的だが、「早稲田カード奨学金」は、早稲田カードの利用手数料の一部が早稲田カード奨学金の原資となっている。皆さんも卒業後は、ぜひとも早稲田カードホルダーになることをお勧めしたい。

早稲田大学の奨学金Q&A

1. Q.早稲田大学にはどのような種類の奨学金があるのでしょう?
A. 奨学金制度は大きく分けて、大学独自で運営している奨学金制度「学内奨学金」と国・地方公共団体・民間団体が運営している奨学金制度「学外奨学金」があります。なお、最も奨学生数が多い奨学金制度は国が運営している「日本学生支援機構奨学金」だが、これは貸与奨学金制度です。

2. Q.早稲田大学の学内奨学金制度とはどのようなものですか?
A. 多くの大学が学内奨学金制度を運営しているが、その中でも早稲田大学の学内奨学金は、質・量ともにトップクラスと言えるものです。「質」の面で言うと、依然として全国の大学で運営されている学内奨学金は「貸与」が中心である中、早稲田大学の学内奨学金は「給付」のみとなっています。さらに、「量」の面で言うと、2007年度実績で学部・大学院を含めて学内奨学金額は総額で約20億円で、これは国内の大学の学内奨学金としてはおそらく最大規模と言えます。

3. Q.早稲田大学では何人の人が奨学金を受けているのでしょう?
A. 07年度実績で、学部では約17,000件の奨学金が交付されています。一人で複数の奨学金を受けている場合も多くあるので、実質の奨学生数は約12,500名程度です。毎年6億円を拠出する「創立125周年記念奨学金」がスタートし、新たに1,526名の奨学生が採用されたことにより奨学金を必要としている学生には十分に奨学金が行き渡るようになったと言えるでしょう。

4. Q.奨学金を受けたいが、どのような手続きが必要でしょう?
A. 早稲田で奨学金を受けるためには「奨学金登録」が必要です。この手続きの詳細は『奨学金情報(CHALLENGE)』に掲載されていて、学部生の場合、毎年12月頃から所属事務所で次年度用の配布が開始されます。なお、08年度春の奨学金登録の受付は既に完了しており、学部生の次のチャンスは夏の奨学金登録(8月)となります。奨学金登録をお考えであれば、まずは所属事務所で『奨学金情報(CHALLENGE)』を受け取ってご覧ください。

◆実際に奨学金を利用している学生自身の声を聞いてみよう。

奨学金を受けたことで一番のメリットは? 日本学生支援機構(旧日本育英会)奨学金(貸与)は併用しているの? 将来はどうしたい?  今回は、人間科学部4年の袴田優里子さんと、第二文学部3年の大川直樹さんにお話をうかがった。ふたりともアルバイトも大変だけれど、勉強にも真摯に取り組み、サークル活動でも頑張っている。早稲田には、まだまだ、こんなに健気に生き、頑張って学ぶ学生が、たくさんいるのだ。

奨学生インタビュー①
《取得奨学金》2005年:小野梓奨学金、 06年:大隈奨学金、07年:大川奨学金(一般)(以上学内)、 06年~:竹中育英会奨学金
袴田 優里子さん(人間科学部4年)

 早稲田大学の奨学金は充実しているとは聞いていましたが、実際に入学してみて、やはりその数が半端でなく多いので助かります。奨学金は全部母の口座に振り込んでもらい、そこから母が仕送りをしており、奨学金が増えると母の負担が減るので本当にありがたい
です。

 竹中奨学金は、毎月いただく金額も多いのですが、年に4回ほどある「奨学生交流会」が素晴らしいのです。アルバイトと勉強が忙しく、専門以外の学生と会う機会が少ない私には、全く専門外の同じ立場の他大生との交流がとても楽しい! 「私も何か新しいことに挑戦しよう」と、いつも全国の仲間から元気をもらって帰って来ます。奨学金採用面接では、アルバイトや経済状況だけでなく、大学での勉強内容についても専門的な内容を聞かれ、しっかり答えられず少しへこみました。竹中奨学会の方々が熱い志で事業に取り組んでいるのもよくわかり、折に触れて「民間企業の奨学金は社会的責任を伴い、『社会に貢献する人材』になってもらわなくては困るのです」とハッキリ言われます。近況報告葉書
も毎月きちんと提出する義務があり、ちょっと大変でプレッシャーではありますが、大きな支えでもあります。

 大学進学のためには、日本学生支援機構の奨学金を受けることが必須条件でした。自分の意思で勉強するのだから当然だと考えていました。貸与ですから、返還の義務を伴いますが、「しっかり働いて返さなくっちゃ」と思うので、かえって仕事を頑張れるような気がします。
専門が健康福祉科学科の心理学というだけでなく、奨学金を受けることで、自然に「多くの人の生活を支え、生活を豊かにしていく仕事がしたい」と考えるようになりました。そしてその思いだけで就職活動をし、面接で一番私の気持ちにピタッと来た企業から内定をもらうことができ喜んでいます。

奨学生インタビュー②
《取得奨学金》06年:早稲田カード奨学金、07年:文学学術院奨学金
大川 直樹さん(第二文学部3年)

 僕は、18歳のころは大学へ行く意味が分からず、大学進学を決意したのは二十歳を過ぎてから。受験料も入学金も生活費もすべて肉体労働で稼ぎ、受験勉強は3カ月しかできなかった。こういう学生は、二文には結構いますが、他学部はどうでしょう? 自分のお金で大学に来ているので、すべての授業が真剣勝負。時間も無駄にできない。科目も厳選し、オープン科目だけでなく、教育・法・政経の科目も取っています。昼間の授業では、眠っている学生の多さに驚きます。非難したいのではなく、1時間あたりいくらになるか授業料の計算をしたら、僕のバイト代を考えるともったいなくて眠ってなんかいられないですよ。

 「文学学術院奨学金」の懇親会が良かったと先輩に言われ、僕も出てみて感動しました。学費値上げの時に文学部の先生たちが「せめて一食分くらいは助けたい」と集めたカンパを基に創設した奨学金と聞き、大学の先生がこんなに学生思いなのかと、全く意外で驚きました(笑)。そこで友人もできました。この奨学金は時期もよく、全奨学金に落ちて、困り果てていた時の募集で、「救いの神」でした。経済状況と面接だけの選考基準もありがたかったです。
  姉が大学時代、当時の育英会奨学金を借りていて、40歳過ぎまで返済し続ける計算になっていたんです。それなら僕は、学生時代に頑張ろうと一切借りませんでした。若いころに借金があると、保身に回る気もして…。人生の一大転機のときに思い切ったことができないと思うんです。だから、早稲田の学内奨学金から貸与が無くなったのは素晴らしいことだと思います。

 厳しい毎日の生活の中で、一日だけアルバイトをしなくていい日ができる。これが、奨学金の最大のメリットです。サークル(「東京花火」)も頑張っているので、この一日の休みが貴重です。

 今のアルバイトは新聞社の編集の下働きで、僕自身の考え方が変わりました。まず、バイトはサービス業だと認識し、相手の要求を把握し、言われたことの先を読んで仕事をするようにしました。マニュアルにない業務は重要なことが多く、全体が見えて来るので、かえって仕事が早く終わる。確かに人の役にたっているのもよくわかり、すっごく楽しい気分です。きっと将来も役に立つと思うので、バイトが無駄だとは思えません。

 
1156号 2008年5月22日掲載