進路選択物語 

社会科学部2008年3月卒業 下村 和也  進路:あずさ監査法人勤務

スペシャリストにあこがれて

 「社会に出て、一人前に働けるのだろうか…」。このような不安を抱いたのは、大学受験が終わったころだった。というのも、私は生まれつき耳が悪いからだ。大学の講義も、聴覚障がいの学生に対するノートテイクというボランティアのサポートがなければ、理解することができなかった。

  そこで、私は自分が社長だったら「どういう人材に魅力を感じるか」と考えてみた。出した答えは、スペシャリスト。現実的には資格を取ることだった。

  次は、どの資格を取るのかに焦点が絞られたが、大学生活を賭けるのだから、難しい資格に挑戦してみようと決めていた。また、小さいころから新聞が好きでビジネスの世界に漠然とあこがれを抱いていた。そして少しでも早く自立したかった。男たるもの、いつまでも親の脛をかじっていてはいけないのである。だから、最難関試験の一つと言われ、かつ短期合格が可能な公認会計士を目指そうと思った。受かるかどうかもわからない試験に大学生活を費やすのは、勇気のいることだった。それでも、自分の未だ見ぬ姿をイメージすることに胸が高鳴った。あとは、妄想を現実に変えるだけだった。

  受験時代は、厳しくも充実した日々だった。迷いの無い毎日が続き、いつしか2年半の歳月が過ぎた。大学4年の霜月、私は財務省の前で勝どきを上げた。何よりうれしかったのは、自分を支えてくれた人たちが、心から喜んでくれたことだった。

  私にとっての「進路選択」とは、社会に出るための「初めの一歩」であり、素直に胸が高鳴る道を選んだ。きっとその道が、自分を一番成長させてくれると思ったからだ。

  妄想が現実になった今、私は監査法人で働いている。公認会計士という職業は、フィールドも広く、さまざまな可能性がある。監査だけでなく、コンサルティングや証券会社などのビジネスの世界ならどこでも活躍できる。遠くない未来にまた、進路を選択する機会があるだろう。そして、私は今日も妄想にふける。


下村 和也さん


サークルの同期と(筆者後列左)


 
1154号 2008年5月8日掲載