こんな授業! どんなゼミ?

2007年度後期分 目次





「発達行動学」
 ―ヒトも動物、という視点から―


根ヶ山光一教授と筆者。教授の研究室にて
▲根ヶ山光一教授と筆者。教授の研究室にて

人間科学部3年 石島 このみ

 今回紹介する根ヶ山光一先生の「発達行動学」は、体と心と環境の交点である「行動」に着目し、人間の発達を学際的に理解することを目指す、まさに人間科学部ならではの講義である。

 ヒトも動物であるという視点から、動物行動学、心理学、霊長類学、保育学等を視野に入れ、人間の行動発達を多角的に考察していくため、従来の発達心理学にはない新たな観点の提示にあふれている。ここではその一部を紹介したい。

 乳幼児期の発達における母子関係を語る場面では、しばしば愛着、スキンシップという言葉がみられる。その背景には、子には母親のそばにいることを求める性質があり、それによって子は守られ健全に育つことができるという発達心理学の巨大理論の一つである「アタッチメント理論」が存在する。

 しかし根ヶ山先生の「発達行動学」の講義では、それはあくまでも親子関係というコインの片面に過ぎないとして、ニホンザルの子育てにおける母から子への攻撃行動などを例に挙げ、独自の論を展開していく。

 子育ては愛着やスキンシップなどの親和的イメージのみに彩られるものではなく、時には親子間で対立が生じるものであり、そういった対立を認め、親と子の間に心理的・物理的に適切な距離を保ってこそ、母子が互いの主体性を認め合うことができ、共に自立していけるのだ、というのである。

 親子は愛に満ちた関係であって当たり前、そこから外れると親失格…。そのような風潮ばかりが横行する昨今、講義で展開される主張は子育てに悩む母親にとって救いになり得るものであると思う。

熱気がうずまく授業風景。eスクール用に撮影も行われている
▲熱気がうずまく授業風景。eスクール用に撮影も行われている

 講義では、このようなユニークな観点からの考察が次々に繰り広げられる。学生と常に同じ目線で、温かく、時に熱く語りかけて下さる根ヶ山先生のお人柄も、この講義の魅力の一つだ。

 凝り固まった既存の視点ではなく、新たな視点から発達について考えたい方、子どもや動物が好きな方、知的好奇心をくすぐられたい方は、ぜひこの講義を受講してみてはいかがだろうか。

※筆者は2005年度後期に履修

(2008年1月17日掲載)

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First drafted 2008 January 17.



富士山環境再生実践講座
 〜大自然と人々との出会いを通して学ぶ〜


樹海エコツアーでの講義。中央、講師の富士山自然学校代表渡辺長敬氏
▲「グループ登山」の実習 (中央、筆者)
「グループ登山」の実習 (中央、筆者)
▲樹海エコツアーでの講義。中央、講師の富士山自然学校代表渡辺長敬氏

人間科学部3年 安岡 珠希

 この授業を担当しているのは、通称ジャンボさんと慕われる渡辺豊博先生で、NPO法人グラウンドワーク三島、富士山測候所を活用する会、静岡総合研究機構などで活動されている。先生は、冗談を交えながら、「現場」を重視した行動の大切さを教えてくれる。

 授業は通年で行われ、前期は「富士山を知る」というテーマの基礎講座だ。毎週、自然科学や歴史・文化など各分野の専門家の講義が聴けた。さらに、受講者全員で富士山麓を訪れ、樹海エコツアーにも参加。無造作に捨てられたゴミ拾いもしながら、富士山一帯の環境や独自の生態系、歴史などについて学んだ。富士山の雄大な景色や豊かな自然は素晴らしく、特に初めて訪れた学生たちは、とても感動していた。

 夏休みに入ると、「富士山を体験する」というテーマで、グループ富士登山、電通富士登山、村山古道実習、マウントレーニア国立公園(アメリカ)視察、インターンシップという五つの選択実習が行われ、私は村山古道実習以外のすべてに参加した。

 特に感銘を受けたのが、広大なアメリカの国立公園での実習である。3週間に渡りレンジャーとして働いたが、これからの生き方にも影響を与えるような特別な体験となった。この講義を受講していなければ、こんなに素晴らしい機会には、きっと巡り会えなかっただろう。

 後期には、「富士山を再生する」というテーマで、各グループでプレゼンをする。自然環境を維持する意識を高め、富士山の魅力を広く発信していくための提案を考えるものだ。この講座では、富士山の環境再生について提言することを目標に、大自然を体感し、個性豊かな人々と出会いながら、自分を成長させることができる。大学生ならではの刺激を求めている人にぜひお薦めしたい。

※この講座は、鞄d通による寄附講座で、WAVOCが提供コーディネーターは、政治経済学術院堀口健治教授。

(2008年1月10日掲載)

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First drafted 2008 January 10.



Introduction to Islamic Culture
〜イスラム教の基礎を知る〜


国際教養学術院の桜井啓子教授
▲国際教養学術院の桜井啓子教授

国際教養学部1年 渡邉 彩乃
国際教養学部1年 小根山 茜

  テレビや新聞を見れば、毎日のように目に飛び込んでくる「イスラム教」という文字。世界を震撼させたあの9.11事件や各地で起こる原理主義運動や紛争など、その認知度が高まる一方で、その内容や歴史について知っている人は案外少ないのではないか。

 この授業では、イスラム教のエキスパートである桜井啓子先生が、イスラム教の根本的な教義や文化、歴史について英語で講義を行う。

 先生は、イスラム教についての基礎だけでなく、今日的に起こっている問題にもつながるイスラム教の思想まで、幅広い分野にわたって熱心に指導してくれるので、毎回興味深い授業が展開される。

 パワーポイントで作成した資料だけでなく、DVD映像や実際のコーラン(イスラム教の聖典)も見せてくれるので、イスラム教を身近に感じることができる。また、キリスト教やユダヤ教といった宗教との比較も行われるので、イスラム教に特化しただけの授業にならず、とても新鮮だ。

 先生のお話は、イスラム教とその信者たちが築いてきた豊かな歴史を教えてくれる。

 それは、日々メディアから流される政治や外交と結びつくイスラム教とは一味違うものだ。遠い昔から人々を支え、その人々によって支えられてきたイスラム教という世界的な広がりをもつ宗教への入り口に立ってみたい人には、ぜひお勧めしたい授業である。

2列目の右端が渡邉さん。その左が小根山さん。この原稿はこの2人が執筆した
▲2列目の右端が渡邉さん。その左が小根山さん。この原稿はこの2人が執筆した

(2007年12月13日掲載)

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First drafted 2007 December 13.



「経済発展論I」
〜途上国の貧困削減のために〜


アジア太平洋研究科修士課程1年 吉田 和美

阿部義章アジア太平洋研究科教授
▲阿部義章アジア太平洋研究科教授

 世界中に発展途上国と呼ばれる国は数多く存在する。この授業では、途上国の現状を学び、経済的観点から、いかに貧困を削減していくかを考える。またこの授業は、インフラ開発を重視した「経済発展論」でもある。経済発展論の理論をもとにインフラサービスの供給が貧困削減に寄与し、どうそれを実現させていくかを考察する。

 教鞭をとる阿部義章先生は、ユーモアを交えつつ全身全霊で学生たちに説明してくださる。例えば、「東アジア諸国は、1970年代以降、急速な経済成長をしてきた。その一方で、アフリカ諸国は現在も貧困が改善していない。ではなぜ発展に差が生じるのか?」など、先生が30年近く世界銀行で勤務された経験をもとに、いろいろな事例を紹介しながら理論が裏付けされていく。学生にとっては説得力があり、イメージもしやすいのでとても臨場感のある授業である。

 ただし、全授業が英語で行われるので、初めのころは戸惑いもした。だが授業では各国から集まった学生たちから、さまざまな質問が飛び交う。国によって経済環境は異なるため、自分の国の場合はこんな問題があるなどの発言から、解釈も多様に広がり、新たな発見につながることにもなる。 経済学と聞くと「難しそう」と敬遠されがちかもしれない。しかし、社会行動についての科学的な解明法だと考えれば、割と身近になるのではないだろうか。

 そこで大切になってくるのが、一つ一つのデータや、予測や結果などの記録である。それぞれの事例から普遍性を学び取ることで、次の試みに生かすことができるだろう。加えて日ごろから先生が指摘していることだが、真の経済開発を行うにはその国の文化や歴史などの背景をきちんと認識しなければならない。つまり経済学的な観点だけでなく、より幅の広い視点で物事を考え、決断する力が必要とされるのである。

留学生も多い授業だ。左から3番目が筆者
▲留学生も多い授業だ。左から3番目が筆者

(2007年12月6日掲載)

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First drafted 2007 December 6.



「実験ファイナンス」
 仮想市場で株式のトレーディング


広田真一商学学術院准教授
▲広田真一商学学術院准教授

ファイナンス研究科1年 本多 健

 今回紹介する授業は、担当の広田先生いわく、「体験を通じてファイナンス理論を学ぶ」ということを目的とした授業である。Caplab というイェール大学で開発されたソフトウェアを用いてコンピュータールームに仮想市場をつくり、各自が投資家として株式のトレーディングや、企業のCEOとして生産・投資といった財務戦略を行う。欧米のビジネススクールでも行われている講義形式である。

 この授業では、一般的に論じられているファイナンス理論を現実経済へ応用した場合、どのような結果が得られ、理論にはどのような限界があるのかを実際に体感する。そして実験として行われたトレーディングなどのパフォーマンスは、実験後に順位表として公表される。そのため、参加者の受講姿勢はまさに真剣そのものである。

 第1回目の実験では、受講者全員に共通に与えられた企業の財務情報などを踏まえた上で、各自がファイナンス理論に基づき、将来10年間にわたるその企業の価値や株式の価値が理論的にはいくらなのかということを推定した上で、実際にトレーディングを行った。実験後はお互いのとった投資戦略を発表し、成果を議論することで、投資におけるファンダメンタル分析の長所・短所をあらためて認識し、その理論の有用性及び限界を目の当たりにすることができた。

 学問というのは、参考書を読み、どんなにていねいに理論を研究したとしても、実際に応用してみなければ、時間の経過と共に徐々に記憶が薄れてしまうものではないだろうか。その点において、この授業はこれまで学んできたファイナンス理論を応用することにより、それを自分のものにする絶好のチャンスとなっている。

 最後に、この授業だけではなく、私の所属するファイナンス研究科は一学年約150人いる中で、9割が社会人学生であり、さまざまな業界で要職につき現場で活躍されている。私は学部を卒業し、新卒学生として入学していることもあり悪戦苦闘の日々だが、経験豊富な社会人の方々と机を並べて勉学に励み、交流することができる毎日は貴重な経験となっている。このような素晴らしい環境を活かし、金融市場のさらなる発展に貢献できる人間になりたいと思う。

ファイナンス研究科は、社会人学生が多い。筆者は2列目の右端
▲ファイナンス研究科は、社会人学生が多い。筆者は2列目の右端

(2007年11月29日掲載)

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First drafted 2007 November 29.



社会科学方法論A
 ―現代を知るということ―


社会科学総合学術院の田村正勝教授
▲社会科学総合学術院の田村正勝教授
授業は大教室で行われる。10分後には教室は満席に。3列目中央が筆者
▲授業は大教室で行われる。10分後には教室は満席に。3列目中央が筆者

社会科学部2年 屋良 竜矢

 現代社会において、われわれはさまざまな問題に直面している。工業化の進展による「環境問題」、さらに経済主義による「地域コミュニティの破壊」、そしてその結果生じた「精神と文化の破壊」など…。こんな調子で授業は始まる。

  この「社会科学方法論A」は、学部創立時から続いてきた社会科学部の看板授業なのだが、そもそもあなたは「社会科学って何?」って思ったことはないだろうか。

  社会科学は法学・経済学・政治学・社会学等々を含む総合学問であり、これらの学問領域一つだけでも扱う範囲は膨大なものなのだ。しかもこの授業は、そんな社会科学の方法論。一見かなり難しそうに思える。

  担当教授の田村正勝先生いわく、社会科学はその発展とともに分野別に専門特化したゆえに、さまざまな要因が絡み合った実際の社会現象を捉えることが難しくなった。したがって「社会科学の総合化」が課題とされていたという。そう、この授業はそんな現代の社会現象をトータルに捉えるための授業なのだ。

  現代を生きるわれわれは、自分の身の回りに起きる諸現象を自明と見なしているが、実はそうではない。経済循環に権利・義務論から人間疎外まで、これらは近代文明が生み出した産物であり、この授業は現代を生きるわれわれが当たり前に享受している諸権利・諸制度のゆえんとその限界を明らかにしてくれる。

  授業中は哲学・経済学・政治学などの概念が飛び交うのだが、田村先生の教え方が上手なせいか、ものすごく分かりやすい。しかも博識。古代から現代までの時代の流れと社会科学の推移が、丁寧に解説されていく。アダム・スミス、マックス・ウェーバー、カール・ポパー…。もう「なんでも来い」って印象すら受ける。

  この授業は、他学部生も履修できるオープン教育科目にもなっている。現代の社会現象の原因に興味のある方、小泉・竹中・マスコミ批判を聞きたい方、単位がやばい方? ぜひともこの授業をとってみてはいかがだろう。

(2007年11月22日掲載)

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First drafted 2007 November 22.



「近代くずし字を読む」 〜偉人の素顔〜


樋口一葉の断簡の一部(早稲田大学図書館蔵書)
▲「くずし字や変体仮名」で書かれた 樋口一葉の断簡の一部(早稲田大学図書館蔵書) あなたは読めますか?

政治経済学部1年 角本 歩

 「文豪もまた人なり」、授業を通してそう感じた。教材は文豪や福澤諭吉などの歴史的人物の原稿。それも直筆の生原稿のレプリカである。

 一番驚いたのは初回授業だった。昨年に続きリピーターとして参加する者も多く、小さな教室は空席が全くないほどの密度。折に触れて、学生のためにクラス会まで企画してくれる宗像先生の人柄の成せる業だろうか。

 教科書に必ず載るような、著名な文豪たちが、いったいどのようなことを考えて作品を執筆していたのか。歴史上の偉人が、その当時どのような思想を持っていたのか。彼らの著作は文庫本として書店に並び、いつでも手軽に手に取ることができる。しかし実際には、常用語の変遷と共に修正が加えられ、「著者を読み解く」媒体としては劣化し過ぎてしまった。だからこそ教材として、文豪らの直筆原稿や日記、手紙を取り上げる意味があるのだ。レプリカとはいえ、生原稿のインパクトは強い。修飾表現ひとつ、言葉ひとつ変えただけで、文章表現のイメージはがらりと変わり、彼らがいかに表現を大事にしていたかが伺える。所々斜線で消された、作品には載らなかった「ボツ表現」を読んでみるのも面白い。

宗像和重教授を囲んで(前列中央)
▲宗像和重教授を囲んで(前列中央)

 しかし、講義のテーマである「くずし字」の攻略が難解である。これらの資料は直筆原稿であるから当然「手書き」で、これが大変読みづらい。漢字の旧字体や旧仮名遣いの洪水で、慣れないうちは、もはや何かの暗号にしか見えない。けれど、授業を受けているうちに、不思議と読めるようになってくる。知識の問題ではなく慣れだろうか。皆で読み進めていくうちに、自然に読めるようになっており、それがまた小気味良い。

 昨今、パソコンや携帯で、コンピュータの「正確な」文字に慣れてしまっている私たち。偉人として名を残し、どこか遠くの存在だった人々の手紙や作品を読み、クセのある手書き文字に触れてみる。とたんに文豪たちが、イメージとは異なる、身近な存在になるだろう。

(2007年11月15日掲載)

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First drafted 2007 November 15.



「コンテンツビジネスと著作権」
 〜最新の知財ビジネスを学ぶ〜


前列左端、前田哲男弁護士、中央、法務研究科高林龍教授、後列中央が筆者。
▲前列左端、前田哲男弁護士、中央、法務研究科高林龍教授、後列中央が筆者。
授業終了後の質疑応答の様子
▲授業終了後の質疑応答の様子

法学部4年 忍澤 彬登

 日本は、世界でも有数のコンテンツ大国となった。資源の少ないわが国において、その動きはごく自然なものであり、かつ、コンテンツ産業は、日本の根幹産業となったといっても過言ではない。そのコンテンツ産業について、著作権を軸として理解を深めるというのが本講義である。

 授業は、著作権入門講座として、文部科学省文化庁長官官房著作権課長甲野正道氏の講義後、毎回ゲストスピーカーとして弁護士やレコード会社、オーディオ機器を製造するメーカーの実務者などを迎えて進められる。もちろん音楽ビジネスの第一線で活躍されている方ばかりだ。プロダクション・ビジネスなど、授業だけでは分からない、学問的には扱われにくい分野についても講義が行われ、最新のビジネスの動向についても聞くことができる。

 学生である私は、普段からデジタル機器や音楽コンテンツに接する機会も多く、時代の先端を行く人間だと自負していたが、ビジネスのプロフェッショナルによる講義からは自分の知らない発見がいくつもあった。たとえば、「着メロ」、「着うた」に代表されるデジタル音楽配信について、想像していたよりも爆発的に普及しているという事実を講義から知って驚いた。

 オープン教育科目の魅力として、あらゆる学部の学生が集まるという点も挙げられる。アーティストとしてコンテンツビジネスに関わりたい人から、法的な面でそれをサポートしたい人、利用者・消費者として教養を蓄えようとする人。あらゆる境遇の学生のニーズに対応する講義は、オールマイティな内容であり、かつ充実したものであった。

 今や知的財産権の保護の強化や、コンテンツ市場の拡大については、国を挙げて取り組む時代となっている。あらゆる環境の学生がコンテンツビジネスについて考察することは、コンテンツ大国に住む者として、今後もますます有用かつ必須になるのではないか。

   ※この講座は、平成15年度より始まった日本政府の「知的財産推進計画」における知的財産立国に向けた方針に沿って、学生に著作権の重要性を理解してもらうことを目指している。コーディネーターは、法務研究科鎌田薫教授、高林龍教授が務める。(社)日本レコード協会の寄付講座だ。

(2007年11月8日掲載)

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First drafted 2007 November 8.



「文化人類学の最前線1」
 〜「現代の文化現象」の分析と解釈〜


文学学術院西村正雄教授
▲文学学術院西村正雄教授
「ラオス」フィールドワークのスライド
▲「ラオス」フィールドワークのスライド
複数のモニターに資料が映され、講義は進む。
▲複数のモニターに資料が映され、講義は進む。

第一文学部2年 後藤 寅彦
文化構想学部1年 堀 真悟
文化構想学部1年 橋本 尚樹

 文化人類学とは、人間の社会的、文化的側面を取り上げて研究し、現代の諸問題解決に対して大きな貢献ができる学問である。

 従来の研究対象は、規模の小さな「辺境」とも呼べるような地域であった。しかし、今日グローバリゼーションによって、文化人類学の研究対象である比較的規模の小さい社会は失われつつあり、文化の境も薄れつつある。このような社会の変動により文化人類学の研究も岐路に立たされている。一方は、文化人類学の終 焉、他方は、文化人類学が過去自ら培ってきた知識と研究方法を用いて、積極的に「現代の文化現象」の分析と解釈に応用していこうというものである。

 この講義では後者に重点を置き、とりまとめの文学学術院西村正雄教授のほか、ゲストスピーカーに非常勤講師の加原奈穂子先生、山本まゆみ先生を迎え進められた。

 文化人類学の研究方法としてはフィールドワークがあげられる。これは研究の対象となる地域に長期間滞在し、その集団の一員となって生活や文化を観察、調査するものである。西村先生は、この基礎となる理論とさらにご自身によるラオスでのフィールドワークのスライドなどを用いて、実践に至るまでの経緯を分かりやすく解説された。加原先生の講義ではフィールドワークの過程について語られ、理論だけでない非常に生き生きとした内容で興味深く、実際にフィールドに入る上で有益な情報を得ることができた。

 また、山本先生はアメリカの大学のようにディベート形式によって文化人類学とは何か、植民地主義、ポストコロニアリズム※などの歴史的経緯をたどっている。このように現場でまさしく文化人類学の最前線を切り開いておられる先生方の授業だかろこそ、この場所で「人間の文化についての研究」の最新情報が得られるのである。

※ポストコロニアリズム 植民地主義や帝国主義に関わる文化、歴史などの批評。文化批評。

(2007年11月1日掲載)

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First drafted 2007 November 1.



商学部・商学研究科 守口剛ゼミナール
「マーケティング・サイエンス/マーケティング・マネジメント」
“ゼミは一生モノ”
 〜ゼミは「早稲田マーケティングクラブ」につながる〜


商学研究科修士課程商学専攻2年 濱田 俊也

「早稲田マーケティングクラブ」の第1回総会
▲「早稲田マーケティングクラブ」の第1回総会(左から3番目が商学学術院守口剛教授)
講義を受ける大学院のゼミ生たち。
▲講義を受ける大学院のゼミ生たち。

 守口剛教授はマーケティング・サイエンスを専門とする、学界や産業界でも非常に著名な研究者である。マーケティング・サイエンスは、マーケティングにおける諸問題に対して科学的手法を適用し、マーケティング上の意思決定の質を向上させるための方法論を研究する学問分野である。

 守口ゼミは、商学部では2005年から、商学研究科では06年に始まった若いゼミである。それぞれマーケティング・サイエンスとマーケティング・マネジメントを学ぶ場としてあり、データの分析からマーケティング上の意思決定までの、一連の流れを知り考えることができる。先生は懇切丁寧であり、また厳しくも心ある指導をしてくださる。ゼミ生発表時には同期からも厳しい質問・意見が飛ぶ。この活気がこのゼミの魅力である。

 先生のゼミに対する思いは学問に関してのみにとどまらない。大学生活の中において、ゼミは非常に重要な位置を占め、そして “一生モノ”であるとおっしゃる。在学中はもちろん、卒業後もずっと継続するような「学びの習慣」や「人的ネットワーク形成」が必要なのだ。

 ゼミ生はその考えに沿い、約1年の準備期間を経て、商学部ゼミ1期生卒業の日に「早稲田マーケティングクラブ」を立ち上げた。守口先生に顧問となっていただき、守口ゼミOB・OGと現役学部生・院生が中心となって、先生の掲げる“一生モノ”の学び舎ができた。第1回目の総会には講演会と懇親会を企画、6月に開催した。OB・OG、現役学部生・院生51名が参加し、盛況な会となった。今後も、OB・OG、社会人学生からの学生への講演や院生・学部生懇親会、謝恩会の支援などが予定されている。

 守口ゼミと「早稲田マーケティングクラブ」の取り組みにより、学部生、院生、OB・OG間のつながりを育てていくための、ひとつの道を提示できるのではないか、と考えている。

(2007年10月25日掲載)

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First drafted 2007 October 25.



「女性・しごと・ライフデザイン(科学技術分野編)」オープン科目
 〜女性としてどう生きるか〜


ゲストスピーカー 福沢恵子先生
▲ゲストスピーカー 福沢恵子先生…ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部在学中に女子学生の作るホンネの就職情報誌『私たちの就職手帖』を創刊。初代編集長を務める。

教育学部3年 上野 真希
教育学部3年 根岸 香織

 近年、日本では女性が働くことが普通になり、多彩な職種に女性が進出してきている。しかし、女性が働き続ける過程では、妊娠・出産、それに伴う子育てなど、多くの女性にとっては幸せでもあることが、状況によっては、ひたすら絶望的な高い障壁になってしまうことがあるのだ。

 「女性・しごと・ライフデザイン(科学技術分野編)」は、これらの困難を乗り越え、仕事と両立させていくためにはどうすればいいかを考える、特に理数系の女性に向けた授業である。この授業は主に講義と、数回のワークショップで進められる。オープン教育科目の半期の授業で、進学予定の高校生も数人受講している。

 講義では、自分自身が仕事と出産・子育てを両立させているゲストスピーカーの方々から、直接お話も伺える。シビアな現実を教えながらも、決してあきらめてはいけないと実体験を熱く語ってくれた。

 今回のゲストスピーカー福沢恵子さんは「職業とライフデザイン…自分の進路を考えるためのヒント」というテーマで講義をしてくださった。福沢さんは出産前後の働き方の違いをタイプ別に分け、それぞれのメリットとデメリットをあげた。それは、出産後の仕事と家庭への漠然とした不安に対し、具体的な選択肢を示すことになる。そして私たちに現実を見据えて決断することの重要性を示してくれる。

 実際に、学生同士で行うワークショップでは10年後の自分を想像しながら「未来日記」を書く。その未来日記を基に、自分の理想と、その実現のためには何が必要なのかを、班に分かれて話し合い、発表する。

 この授業で、私たちは現実の厳しさを再認識できた。しかし、それと同時に、今ある現実をしっかり受け止めた上で、自分自身の言葉で考え、選択していくことが重要だと分かった。

 最後に、主に女性向けの授業ではあるが、多くの男性方にもぜひ受講してもらいたいと思う。

授業風景
▲この講座は、2006年度に受託した科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」−『早稲田大学・研究者養成のための男女平等化プラン』によって開設されたもの。コーディネーターは教育・総合科学学術院の矢口徹也教授。金曜・土曜の2講座で、300人ほどの大学生、高校生が受講している。

(2007年10月11日掲載)

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First drafted 2007 October 11.



「児童福祉論I」 〜授業で感じ、そして得るもの〜


里親研究をされている川名はつ子先生
▲里親研究をされている川名はつ子先生
後藤多美子さん
▲▼里親の経験を語る後藤多美子さんと土井高徳さん
土井高徳さん

人間科学部2年 池田 さち

 皆さんは「資格対応科目」にどのようなイメージをもっているだろうか。「内容が難しく、とにかくマジメ…。」と思うだろうが、この「児童福祉論I」は違う。多くの講師や受講者から、あらゆるものを得ることができるのだ。

 この授業は、2人の先生が担当されている。メインで受け持たれている人間科学部准教授の川名はつ子先生は、特に里親に関する研究に熱心で、授業前に可愛らしい里子の写真をよく見せてくれる。そこから話が広がり、授業があっという間に終わってしまうということもあるほどだ。

 また、実際に里親をお招きしての特別講義も開かれる。里親としての喜びや悩みを直接聴くことができる、貴重な体験だった。

 また、前橋明教授の授業でも、自らの足で集めた膨大なデータの内容の素晴らしさや、子どもに対する情熱に圧倒される。

 川名先生の授業の最後には、名物の「バズセッション(小グループの話し合い)」が行われる。つまり、授業の内容に応じたあるテーマについて、近くに座っている5、6人で話し合うのだ。しかし、幼稚園や保育園での思い出から両親のDV、離婚まで、回によって子どもに関わるあらゆるテーマが設定されるため、毎回すぐに結論が出るとは限らない。しかし、このおかげで初対面の人とも積極的に話し合えるのも事実だ。仲のよい友人同士で話している場合でも、はっとさせられることが多い。また、次の授業の初めのフィードバックで、他のグループの考えも知ることができる。戸惑うことがあっても、このセッションで得られるものはとても多い。

授業風景
授業風景。写真中央のストライプのシャツを着ているのが筆者

 ここまで並べると、「熱い授業」と尻込みされるかもしれないが、これは「児童福祉論I」、どこかほのぼの感もある。明るい雰囲気の中で、子どもについて学び、自ら考え、さまざまな人の考えを知ることができる授業だ。


(2007年10月4日掲載)

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First drafted 2007 October 4.



近藤康之ゼミ「応用計量経済学」
 〜理論とデータで現実経済を読み解く!〜


政治経済学部4年  寺田 充利

 応用計量経済学とは、理論的に導出された経済モデルをデータ分析によって実証する学問である。

 ゼミは3年生からスタート。前期は、サブゼミで回帰分析(相互依存の関係がある二つの関数を一次方程式、y=aX+bで分析する手法)と産業連関分析(各産業部門間の投入と産出の相互依存とこれらの需要との関連を分析する手法)を基礎から学び、同時にパソコン実習を行ってスキルを習得する。

 通常のゼミでは産業連関分析の応用について各担当者によるプレゼンと議論が行われ、後期ではゼミ生がグループを組んで共同論文を執筆し、4年生になると2年間の集大成として各自がテーマを決めて卒業論文を執筆するのである。

 ゼミで2年間学べば、応用計量経済学的な目が養われ、面白い視点から経済をとらえることができるのだ。例えばテレビで「円安による輸出増加と企業の積極的な設備投資によって景気が回復したように、日本経済は輸出投資主導型である」というニュース報道が流れた時、まず回帰分析を使いマクロ輸出関数を推定、輸出の価格の弾力性を求め、産業連関分析では、投資が1単位増加することにより生産が何単位誘発されるか、などと計算することもできるのである。

 近藤ゼミは創立6年目の新しいゼミであるが、2005年と06年に「早稲田政治経済学会論文コンクール」において優秀作受賞に輝いたという実績がある。またゼミ生もこの1年間で倍増して成長真っただ中のゼミである。成長の源は、なんといっても通常のゼミに加え週2コマのサブゼミという充実した活動量と周囲の支えである。私のゼミ生活を振り返ると、議論で発表内容について周囲から毎回有益な回答をもらって励みとなったし、これを契機に近藤ゼミをより良くしたいという気持ちになった。先生とゼミ生がいたからこそ、今の近藤ゼミがあるのだ。

 ゼミで学んだ知識を活用できることは魅力的であるが、ゼミで得られる最も貴重な財産は、共に学んだ同期、教授と先輩後輩にほかならない。

政治経済学術院教授 近藤康之ゼミナール
【URL】http://www.geocities.jp/kondozemi05/

前列右端が筆者、最後列右端が近藤康之教授
▲近藤康之ゼミ
前列右端が筆者、最後列右端が近藤康之教授

(2007年9月27日掲載)

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First drafted 2007 Septmber 27.