薦! |
『Will You Find Me』 Ida
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<評者>
堀内 賢志
(ほりうち・けんじ) 社会科学総合学術院助教 2007年4月嘱任 担当科目名:社会科学特殊講義T(現代ロシア研究)、社会科学特殊講義U(北東アジア研究)、英書研究 専門分野:国際関係論 |
一人になるための音楽というものがあるとすれば、Idaの "Will You Find Me" はまさにそうしたアルバムのように思える。繊細で淡々としたサウンドと、囁くような男女のコーラスのハーモニーが、常に内省的に収斂していくように感じられる。
Idaはニューヨーク、ブルックリンをベースに、マイペースな活動を続けている。パンク・ロックやオルタナティブの流れにあって実験的なサウンドを試みてきたポスト・ロックと称されるジャンルの中で、淡々としたメランコリックなサウンドを追求する「スローコア」と呼ばれるミュージシャンたちがいる。Idaはその中でも、ジョニ・ミッチェルやニール・ヤング、ニック・ドレイクといったシンガー・ソングライターたちのエッセンスを受け継いだ、完成度の高いソング・ライティングで際立っている。
中心メンバーの一人、ダニエル・リトルトンは、いくつかのパンク・バンドで活動した後、1992年、リサ・ローブとのデュオで活動していたエリザベス・ミッチェルとともにIdaを結成した。「ソングライティングとミニマリズム」が当初からのビジョンだったというとおり、最小限に引き絞られたサウンドと、説得力のある歌が、とても大きな広がりをもって迫ってくる。美しいけれど、どこか歪んだ感覚があり、メランコリックではあるがしなやかな強さがある。沈んだ感覚の中に、ひそかな高揚感がある。
一人になりたいとき、何もせず、すべての音を消してじっとしていたいとき、そういうときがたぶん誰にでもある。Idaのこのアルバムは、そんな一人の時間がこの上なく充実した豊かな時間となりうるのだということを、感じさせてくれるように思える。
(2008年1月10日掲載)
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