進路選択物語

生きるための仕事と、娘としての仕事と


2003年教育学部卒業 溝口 麻綾
進路先: 就職(福祉事業)

職場で事務の仕事にも励む筆者
▲職場で事務の仕事にも励む筆者

 一般企業には興味がなかった。「人の、そして社会の役に直接立てると思える職業を目指そう」。大学に入ってからもずっとそう思い続け、過ごしてきた。もともと公務員のような仕事に興味があったのはもちろんだが、もう一つ大きな理由があった。私が大学1年生の頃に、母が一般にはあまり知られていない、進行性の病気にかかっていることが分かっていた。時が経つにつれだんだんと悪化し、次第に動けなくなっていく病気だ。私は仕事だけでなく、そういう母の介護や、家のことも自分でやらねばならない。そのため、残業があるような一般企業に就職するのはそもそも無理なことであった。母のために勉強にもなるような福祉系の仕事に就きたい、そう考えるようになっていった。

 大学では部活動をずっとがんばり、卒業してから福祉系の資格が取れる専門学校に行かせてもらった。予想外なことに、専門学校に通う学生はほとんどが年上だった。社会人で働きながら通う人、主婦の人…。そこでは個性あふれる、さまざまな人生経験を積んだ友人たちとの出会いがあった。彼らとの出会いは本当に貴重で、目の前の状況でいっぱいになりがちだったその時の自分の視野を、大きく開かせてくれるような思いがした。勉強にも懸命に励み、将来についても考えた。専門学校はたった1年間だったが、大学4年分の経験を積んだように思えるほどだった。

 そして無事に社会福祉士の資格を取り、比較的大きな老人施設への就職をすることができた。大変だろうということは覚悟していたが、やはり現場は体力勝負の日々。仕事自体はとても充実していたし、楽しく感じてもいたのだが、夜当番などをすると家のことがままならず、次第に両立が難しくなっていった。迷ったが、転職を決意。夕方には仕事を終えられる福祉職に就き、現在に至っている。

 母のこと、家のこと、そして仕事の両立をすることは、これからも私の最大のテーマとして考えていかねばならない。辛いこともあるけれど、仕事はいつでもできる。今、そばで母を介護できることに感謝し、無理をせずに楽しんでいければと思っている。

(2007年10月4日掲載)

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First drafted 2007 October 4.