こんな授業! どんなゼミ?

2007年度前期分 目次





「スケジューリングアルゴリズム」 〜ものの作り方を探求する〜


情報生産システム研究科  修士課程2年 村山 隆志

情報生産システム研究科藤村茂准教授
▲情報生産システム研究科藤村茂准教授

 「スケジューリング」とは、複数行うべき仕事がある時に、どういう順番で仕事を進めれば最も早いか、あるいは都合が良いか、その最適な仕事を行う順番を求める問題のことである。

 皆さんは、「スケジューリング」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。「旅行のスケジューリング」、「試験勉強のスケジューリング」、「料理手順のスケジューリング」など個人によってさまざまなものを、思い浮かべると思う。しかし、本講義では生産スケジューリングを中心とした内容で講義を行っている。

 生産管理業務において、スケジューリング業務は中心的な役割を果たし、生産管理情報のシステム化において、スケジューリングシステムを構成する技術は重要な要素となっている。また、スケジューリングシステムにおいては、企業における利益最大化を狙う戦略的システム、企業間の需要関係の最適化を狙うシステムとして注目されている。この分野での豊富な実務経験を持つ藤村先生による講義は、スケジューリング問題のモデリング、解法を与えるアルゴリズムの基礎について重要なポイントを抑えており、この分野での学習経験のない学生にも分かりやすい内容となっている。また、多くの留学生が受講しているので、日本語と英語の講義資料があり、すべての受講者が理解しやすいよう配慮されている。そして、実問題として存在する課題に対するアプローチの方法、さらにスケジューリングを取り巻く最近の話題についての紹介などは、先生だからこそできる話である。

 藤村先生は、笑顔が絶えない優しい先生なので、和やかな雰囲気で講義は行われ、また、話し上手で興味深い話をされるので、時間が経つのが早く感じられる。

 生産スケジューリングに興味がある方だけではなく、自分自身のスケジューリング管理が苦手な方にも、お薦めの講義だ。

講義は、PCを使って行われる。
▲講義は、PCを使って行われる。

(2007年7月19日掲載)

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First drafted 2007 July 19.



「愛の制度」  〜そもそも制度なんかねえだろ〜


文学学術院 草野慶子教授
▲文学学術院 草野慶子教授

第一文学部2年 大出 彩香

 本当の愛はこの世にあったためしがない、結婚は長期の売春だ…。甘美な「愛」のイメージを容赦なく雲散霧消せしめるこれらの思想は、「私が言ってるわけじゃないから怒らないでくださいね」との前置きとともに繰り出される。ここで「嗚呼『愛の制度』ってそんな夢も希望もないものなのか」と厭世的になってしまったそこの君。そもそも君は「愛」というものは無条件に良いものであると信じて疑っていないのでは?

 この授業では、19世紀後半から20世紀はじめにかけてのロシアの性愛論が扱われている。ただし性愛論と聞いてすぐに思考回路を桃色の世界と結びつけては駄目ですよ。とりあえず「愛の制度」授業内容からの抜粋である次の文章を読んでほしい。「この時代のロシア社会の諸分野においては、性愛が中心的なトピックとなっていた。愛と性という、私たちの現実の生にとって、もっとも切実な主題群と、はたして文化研究という枠の中でどのように切り結んでいくことが可能か、受講者の皆さんとともに真剣に考えていきたい」と草野先生はおっしゃる。つまり、この授業は現在我々が興味津々な恋愛問題ではなく、文化的、観念的な「愛」について学問する時間なのである。しかし決して堅苦しいものではない。放送禁止用語を放送禁止用語と感じさせない弁舌爽やか、かつあっけらかんとした草野先生の講義は面白い。

約250人もの学生が受講している
▲約250人もの学生が受講している

 扱うテーマは本当に幅広い。天然魔性の女(ファム・ファタル)ルー・ザロメの生涯、ロシア文学の王道トルストイの『クロイツェル・ソナタ』、世紀末の思想家ソロヴィヨフの『愛の意味』、天才舞踊手ニジンスキーの『牧神の午後』といった作品群。多彩な、そして規制にとらわれないアナーキーな視点からのアプローチによって、自分なりの現代における「愛の制度」を形成する手がかりになるのではないだろうか。愛とはやはり良いものだとの再確認もよし、である。

 「自分の恋愛に役立つと思ってこの講義をとったのに」即物的諸君よ、落胆するなかれ。この授業で身につけた知識と論点を、彼氏(彼女)に愛をささやく際に役立ててみてはどうだろう。がんばれ。

※ファム・ファタル フランス語、男性をその性的魅力で惹きつけ、破滅させるような女性のこと。

(2007年7月12日掲載)

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「電磁気学要論」
 〜講義と演習を通して〜


小林正和理工学術院教授
▲小林正和理工学術院教授

先進理工学部1年 波多野 真理

 電磁気学とは、その名の通り、電気や磁気など実際目に見えないものを扱い、電界の強さ、電位などを計算して大きさや向きを求めるという学問である。

 ここで今回紹介する小林先生の電磁気学要論は、受験科目で生物を選択して入学してきた学生のための物理、電磁気学の必修授業だ。金曜日の3・4限に行われており、3限は講義、4限は演習という形で毎週行われている。

 3限の講義は前回の復習から入り、新しいテーマに入っていく。3限で教わったことについての演習問題を4限で解き、そのレポートを翌週の金曜日までに提出するというサイクルである。

 私はこの4限の演習が大事だと思っている。授業中に質問できない私は、習ったばかりのことを吸収しきれておらず、多くの疑問点を持った状態にあり、それを一人で抱え込んで問題演習することは不可能に近い。

 ここでこの演習の時間の特徴を挙げよう。一つ目は、小林先生およびTAの方に気軽に質問できることである。これは本当にありがたいことで、多くの学生が助けられている。なぜなら、小林先生やTAの方は基礎的なことを質問しても怒ったり、嫌そうな顔をしたりしないで説明して下さるので、学生の側もビクビクする必要がないからだ。

 二つ目は、友達同士で相談しながらできるということだ。「ここは違う」とか「その問題は教科書に載っているよ」など互いにアドバイスをしながら、やることができるので、印象に残りやすい。

 また、この時間内に納得いかなくても、救済措置がある。小林先生の研究室に行って質問することが可能なのだ。あまり時間を気にせず、個人的に教えてくださるので、納得いくまで考えられ、充実した時間を過ごすことができる。

 電磁気学という学問は難しいが、小林先生の講義ならば、自分のやる気次第で修得可能になるに違いないと信じている。

授業に参加している学生は真剣そのもの
▲授業に参加している学生は真剣そのもの(右2列目右から2番目が筆者)

(2007年7月5日掲載)

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First drafted 2007 July 5.



「マクロ経済学2」
 限りある資源をどう使うか


片岡孝夫商学学術院教授
▲片岡孝夫商学学術院教授

商学部3年 鈴木 匠

 経済学とは一言で言えば、限りある資源から、いかに価値を生産し分配していくかを研究する学問である。難解でとっつきにくい印象があるかもしれないが、実は誰もが日常で触れている学問だ。というのは、誰もが「制約」と「満足」の世界にいるからである。

 例えば大学では、学生は支払った学費の対価として教育というサービスを受けられるが、基本的にどの講義を受けようと、支払う学費の額は変わらない。学生は、どの講義を受けようかと迷う。なぜ迷うのか。どの講義も、受ければそれぞれ違ったものが得られるからだ。では興味のあるすべての講義を受ければいいではないか。しかし、そうはいかない。曜日時限が重複したり、登録制限単位数が決められていたりとさまざまな制約に縛られているために、取捨選択せざるを得ないのである。その制約の中でどれだけの「満足度」を得られるかを迷っているのだ。

 私は、右に述べたような制約の中で、片岡先生の講義を選択した。それは、数ある選択肢の中でも、最適な選択だったと思う。先生はわかりやすい例を用いながら、毎回熱心に授業をなさり、どんなに初歩的な質問にも、笑顔で答えてくださる。そんな先生のお人柄があってこそ、私の経済学への興味が引き出されたのだと感じている。

 経済学の本質である「限りある資源をどう使うか」という問題は、物やサービス、お金だけにとどまらない。例えば、われわれの大学時代も、4年間という限りある資源ではないか。この中で、ある選択肢をとれば、採用しなかった選択肢を取った場合に得られる利益は犠牲になる。これは経済学では機会費用と呼び、コストと考える。

熱心に講義を聴く学生たち。筆者は左端
▲熱心に講義を聴く学生たち。 筆者は左端

 もし大学で何も学ばなければ、得るものがないばかりか実は損をしているのである。4年間の大学生活という限りある資源から、いかに価値を生産して自分に還元するか。もちろんさまざまな制約はあるが、その中でもできる限り満足度の高い選択肢を取るように努めれば、どれだけ成長できるだろうか。

 経済学は、われわれの日常に密接した学問であり、そのマインドは、われわれが社会の中で生きていく上で、ぜひとも身につけておくべきものである。

※筆者は前年度後期に受講

(2007年6月28日掲載)

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First drafted 2007 June 28.



「地誌学」  〜ポルトガルの魅力〜


熱弁をふるう池俊介教育・総合科学学術院教授
▲熱弁をふるう池俊介教育・総合科学学術院教授

教育学部2年 清水 沙羅

 この科目は教育学部社会科地理歴史専修必修科目で、1年生全員が受講している。前期は世界の気候や日本地誌(自然や文化など)を学び、後期からは先生の専門であるポルトガルの地誌について学んでいる。ポルトガル地誌を課題にした授業を展開しているのは日本では池先生だけらしく、とても貴重な授業である。

 さて、ポルトガルとはどんな国か? サッカーW杯での活躍や鉄砲伝来などが思い浮かぶが、意外と知っていることは少ないのではないだろうか。この授業ではポルトガルの歴史、地理的特徴はもちろん、池先生が現地に留学して得た貴重な体験談や映像を見ることができる。

2列目右から2番目が筆者
▲2列目右から2番目が筆者

 ポルトガル共和国は、イベリア半島の西端に位置し、面積は日本の4分の1ほどの国である。よく隣国スペインと比較され、「情熱のスペイン、哀愁のポルトガル」と旅行会社のパンフレットなどに書いてあるが、池先生の語るポルトガルの人々は親切でまったく暗い感じはしない。授業の後半で、先生が訪れたポルトガル各地の写真を見せていただくが、外観を重視した伝統的な住居の美しさに感動する。「日本人は家から見た眺めを重視するが、ヨーロッパ人は外から見た町の風景を重視する」という話を聞いたが、確かにその通りで、つい足を向けたくなる魅力がある。

 とにかくポルトガルについて語る先生は生き生きしている。そしてその魅力について私たちに熱く語ってくれる。イベリア半島の名産である、ドングリを食べて育ったイベリコ豚の話など興味深い話が多く、授業を受けている私たちもポルトガルの魅力に引き込まれていく。

 他のヨーロッパ諸国に比べると治安がよく、人種差別もほとんど見られないし、物価も安い。このようにポルトガルは、学生の初めての海外旅行に向いている国である。大学の長期休暇を利用して、ぜひ一度、池先生お勧めのポルトガルを堪能してみよう。
※筆者は前年度に受講

(2007年6月21日掲載)

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First drafted 2007 June 21.



スポーツ栄養学
 ―豊かな人生を送るには―


スポーツ科学学術院鈴木正成教授
▲スポーツ科学学術院鈴木正成教授
玄米ニギニギ体操!
▲玄米ニギニギ体操!

スポーツ科学部4年 菊地 愛

 「食」は生きるために必須の要素である。栄養学は生命保持に加えて、健康の維持・増進や競技力向上のために重視され、スポーツ栄養学の授業に対する関心度は高い。この講義も、約400人と多数の受講生がいる。講義の構成は科学的かつ実践的で、大変興味をそそられる。

 食事の栄養効果を高めるためには、「食べ方」が重要である。いつ、どのように、そして何と組み合わせて食べるか。そこに筋肉・骨作り、パワー・スピード・スタミナなどの基礎体力作りを促進させるポイントがある。

 「玄米ニギニギ体操」というユニークな名前の運動法がある。これは鈴木先生考案のエアロビック効果を合わせ持つ、軽レジスタンス運動である。玄米300gを詰めたダンベルを握り締め、手首をしっかり内側に曲げて、動きを止めずにゆっくり動かす。なぜ玄米なのかというと、滑らない、砕けにくい、虫がつきにくい、総じて握り具合が良いからである。12種類の体操を15回づつ行う。時間は約15分。実行してみるとやや辛いが、体操後に爽快感を覚え、効果を実感できる。年齢に関わらず誰でも行うことができる。この体操によって基礎体力は付き、代謝が上がる。筋肉が増強され、ダイエット、貧血や骨粗鬆症予防・改善などにも有効だ。

 現在、社会問題となっているメタボリック・シンドロームを予防し、改善するためにも、健康に関する知識を習得し、意識を高め、日常化することが大切だ。「活動寿命=生物寿命」が理想である。「豊かな人生を」とは鈴木先生がいつも言われることだ。誰もが毎日を明るく、楽しく、笑って過ごしたいと願う。それには生活全体を見直すことが必要だ。食事、運動、休養をバランス良く取り、規則的な生活を確立することが大変重要である。

 温かいお人柄で、お料理上手な先生からは、栄養学だけでなく、「食」を通して人生のあり方も学べる。とても奥深い講義である。 ※筆者は前年度後期に受講

(2007年6月14日掲載)

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日本語教育実践研究(1)「にほんご わせだの森」


年少者日本語教育研究室 日本語教育研究科  修士課程2年 中川 智子

子どもたちの反応を見ながらゲーム感覚で授業を進めていく
▲子どもたちの反応を見ながらゲーム感覚で授業を進めていく (筆者は左から2番目)
池上摩希子日本語教育研究科准教授
▲池上摩希子日本語教育研究科准教授

 この授業は別名「わせだの森」と呼ばれている。池上摩希子日本語教育研究科准教授の授業で、正式には日本語教育実践研究(1)という。平日に授業、土曜日に実践を行うスタイルで、実践として土曜日に開かれる日本語教室の名前が「わせだの森」なのである。なぜ土曜日に実践を行うのか―。それは研究室のフィールドが「地域」だからである。

 新宿という土地柄、早稲田周辺には外国の方もたくさん住んでいる。日本語を学びたいと思っている人はさまざまで、大学で留学生として日本語を学ぶ人もいるし、日本語学校で学んでいる人もいる。

 でも地域に住む人で日本語を勉強したいと思っている人、平日の教室に通えないため日本語の勉強をあきらめている人もいるのではないか。そういった日本語を勉強したいという人たちに、その機会や選択の幅を増やし、大学院生と地域の人々とが関わりながら日本語教室を作っていければ、という思いで行っている。2006年度後期は、子ども対象の日本語教室も展開した。

 平日の授業は、主に先生と学生で実践の活動を練っていく。学習者の募集から日本語の授業のデザインまで、すべて自分たちの手で作り上げていく。その過程はとても刺激的で面白いが、もちろん思い通りにいかないことも多い。それもまた勉強。その場合、どのように対処するか、先生や他のメンバーと毎回頭を悩ませるが、池上先生の人柄もあって、授業はとても和やかで居心地がいい。みんなで作り上げた活動案を、地域から集まってきた人に実践する手作りの教室。本当に「創っている」ことを実感し学べる授業だと思う。

 地域の人が土曜日の午後にぶらっと大学に来て、楽しい日本語学習の時間を過ごせるような、日本語教室になればいいな…、と試行錯誤中である。

※今年度活動は下記Webサイト参照
【URL】http://www.gsjal.jp/ikegami/index.html
※原稿は前年度後期に執筆




「企業金融と投資銀行 ビジネスのフロンティア(実践・応用)」
 ―大学で金融実務を学ぶ!―


講座を担当された、みずほ証券株式会社 杉浦 秀徳氏。
▲講座を担当された、みずほ証券株式会社 杉浦 秀徳氏。
講座を担当された、みずほ証券株式会社 林 繁樹氏。
▲講座を担当された、みずほ証券株式会社 林 繁樹氏。

法学部4年 松浪 弘幸

 1996年、政府によって「日本版金融ビッグバン」が打ち出され、金融の自由化・規制緩和が推進されたことは記憶に新しい。そのような規制緩和の流れによって、近年では企業の多様な資金調達手段に対して、一層注目が集まっている。この「企業金融と投資銀行ビジネスのフロンティア」は、企業の資金調達、IPO(株式公開)、ストラクチャードファイナンス(特定の資産を信託や特定目的会社等の仕組みを通じて、企業のバランスシートから切り離し証券化する)といった、最近の金融業界のトレンドを第一線で活躍されている方々から学ぶことで、学生もビジネスのダイナミズムを体感できる貴重な機会である。

 企業金融と聞いて、日経新聞に載っているような難しい経済用語を連想する方もいるかもしれない。しかし、この講座を受けるにあたって、専門知識はほとんど要求されない。本講座には定まった教科書はなく、担当される講師によって毎回配布される資料を用いて講義が進行する。資料の内容は、最近話題となった新聞記事や、講師によるオリジナルのレジュメが中心であり、学生にとって身近でイメージしやすい内容が選ばれている。さらに、興味を持った分野については、講義の最後に講師がいくつかの書籍を紹介してくださるので、それを使ってより理解を深めることもできる。また、夏季期間にインターシップが開講され、更に後期開講のグループ・ワークでは、実際に証券会社が手掛けた事例を基に、ストーリー性のある教材、財務諸表や株価チャートを利用し、ケーススタディ形式で議論をする。2006年度は、楽天によるM&Aの事例と、資生堂の株主還元政策について、それぞれ複数のグループに分かれてプレゼンテーションを行なった。また、証券化の講義では、白紙の状態から事業スキームを組み立てることで、理論的な構造に止まらず、証券化の持つ潜在的な問題点も含め、踏み込んだ内容まで検討することができた。

 専門的に勉強する学生はもちろん、将来的に金融業界を志望する学生にもぜひお薦めしたい。

※当講座は、「企業金融と投資銀行ビジネスのフロンティア(概論)」(前期)の履修者向けのアドバンストな講座である。コーディネーターは教育・総合科学学術院藁谷友紀教授、熊谷善彰准教授と社会科学学術院かつら山康典教授が務める寄附講座である。

(筆者は前年度後期に受講)

(2007年5月31日掲載)

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First drafted 2007 May 31.



「演習I・II(健康福祉マネジメント)」
炸裂! 吉村流マネジメント


吉村正人間科学学術院教授
▲吉村正人間科学学術院教授

人間科学部4年 久保田 慶則

 わがゼミでは健康・福祉領域における経営を学んでいる。

 ゼミの特色に現場現実主義、フィールドワークの重視が挙げられる。先日も30の系列病院・福祉施設を擁する埼玉県戸田市の戸田中央総合病院において、見学ならびに職員の方との交流会を催していただき、病院の運営の在り方を学んだ。人間科学学術院教授の吉村正先生はこの病院の顧問であり、事務の方々は吉村先生が創部したソフトボール部の教え子が中枢を占めている。

 また、かつて「神仏の断罪によって罹る」とされたハンセン病患者を強制収容した東村山市の国立療養所多磨全生園において、当事者の講演を聞き施設を見学することで過去の過ちを知ることができた。この講演会は、本来、都内の教育委員を対象とするものであったが、東村山市において教育委員を務める吉村先生のご配慮によって、特別に学生も同席させていただいたものである。

 さらに、ホームベースに置かれた台の上に載ったボールを打つ野球型スポーツ「ティーボール」の大会に参加し、障がい者と対戦することで、ノーマライゼーションの在り方を考える機会もあった。この全国組織であるNPO法人日本ティーボール協会を立ち上げ、現在理事長を務めているのも吉村先生である。

 おいおい、何かにつけて吉村先生じゃないか! と思う読者のあなたは正しい。吉村先生が、その広い人脈を駆使して学生に多種多様な現場実習の場を提供すること、それ自体が生きたマネジメントなのだ。ゼミ生は吉村先生の背中を見ながら、人脈、パートナーシップの大切さを実感する。

 一方、教室では、この経験をもとに春秋の年2回、ゼミ生各自が設定したテーマについて研究発表を行い卒業研究につなげていく。

 ゼミ生は、スポーツ系の部活・サークルに所属している者が多く、クラスは活気にあふれている。だがその一方で、コーヒーを飲みつつ企画を練ったりと、アットホームな一面もある。

 学生が、進取の精神を持って自主的に取り組んでいる吉村ゼミ。吉村先生も、4代続くワセダマン。「健康福祉マネジメント」は、健康福祉科学科が誇る最もワセダらしいゼミなのだ!

中列左端が筆者。多磨全生園にて
▲中列左端が筆者。多磨全生園にて

(2007年5月24日掲載)

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First drafted 2007 May 24.



「精神保健概論2」
うつ病を知っていますか


マイクを使って講義を進める小杉正太郎文学学術院教授
▲ マイクを使って講義を進める小杉正太郎文学学術院教授

第二文学部4年 石田 隆

 「社内うつ」という言葉を知っていても、小杉正太郎文学学術院教授の「造語」であるということを知らない人もいるだろう。精神保健概論では、「社内うつ」をはじめ、統合失調症、うつ病、DSM―(精神障害の診断と統計の手引き第版)、ソーシャル・スキル・トレーニング、社会復帰プログラム、精神医療と法律、EAP(社員支援プログラム)、ストレスマネージメントスケールおよび自殺など、心理ストレスに関する幅広い領域を学んでいる。

 これだけの講義内容を、過不足なく伝えることは非常に難しいはずだが、小杉先生の熱意と論理性、そして非常に分かりやすい話し方が、講義の成立を可能としている。企業内カウンセリングに関する現実的な話も興味深い。うつ病に対する偏見や差別を取り除くことも、この講義の目的である。うつ病と聞いて、何を想像するだろうか。「早く立ち直ってほしい」、「心の弱い人の問題」、「遺伝」、「自分には関係がない」など、人によってさまざまであろう。想像は過去の人生経験の影響を受けるので、その内容はここでは問わない。けれども、そこに偏見や差別がある場合、うつ病に苦しんでいるクライアントに深い心の傷を与える。自分がうつ病の立場だったら、どう感じるだろうか。

 うつ病は誰にでも生じる可能性がある。上記の「社内うつ」は、厳密な定義によれば「うつ状態」なのだが、心の苦しさは変わらない。だが、ストレス耐性を高める知識があれば、より人生を前向きに生きていくことができる。

 一例として、性格は変えにくいが、気の持ちようは少しの努力でどのようにもなることが挙げられる。コーピング(ストレス対処方略)を改善することにより、その後の人生が大きく変わる。その知識は、家族や友人、未来の同僚などを心理的に支えることも可能なのだ。

 金曜の6限という、1週間の疲労が最も蓄積される時間にもかかわらず、小杉先生の声は非常に聞き取りやすい。小杉先生に元気を分けてもらうという点でも、お勧めの講義である。

※筆者は昨年度後期受講

講義にはビデオなども活用されている
▲ 講義にはビデオなども活用されている



ロジスティクス最新事情
 ビジネスの根幹は物流にあり! 最新情報をここで聞け!


アジア太平洋研究科(早稲田大学ビジネススクール)2年 鬼頭 昭成

三木真人氏
山田御酒氏
▲物流施設専門の不動産会社プロロジスが、業界の人材育成のために開設した寄付講座。写真は、プロロジスの三木真人氏(上)と山田御酒氏(下)

  ロジスティクスとは、簡単にいうと「物流」である。しかし、単に物を流すのではなく「必要な時に必要な物を」という条件付きである。

 ロジスティクスの概念の基である「兵站」とは、戦争の際に、戦争に必要となる物資の前送・補給・修理などをする後方支援機能のことである。戦いが始まった時、そこに必要な物資がなければ戦えない。それどころか人命に関わる。そのため、必要な時に必要な物を準備しておくことが必須である。企業も同様だ。必要な時に必要な物を準備しておくこと、これが重要。

 従来、物流と呼ばれていた機能が、現在、ロジスティクスと呼ばれるようになったのは、このような理由による。物があり余る時代となり、今後もますます「必要な時に必要な物を」という要求は強くなっていくだろう。物はスペースを取る。使いもしないのに物を置いておくのは邪魔だ。しかし、使いたいのに、必要な物がないというのは実に不便だ。この相反する要求に答える一つの方法が、ロジスティクスである。

「必要な時に必要な物を流す」こと、これは近年のIT技術によって、昔とは比べものにならないほど進歩してきた。インターネット、ICタグ、高度な動画配信など、さまざまな技術でますますロジスティクスの世界は進歩し続けている。また、最近は顧客満足に直接結び付くこともあって、ロジスティクスを最優先課題とする企業の数が増加している。

 この講座では、最近の物流事情を知るために、ロジスティクスの先端を推進している専門家を毎回お招きして、その企業で行われているライブケースを展開する。一般消費者であるわれわれにとってはもちろん、企業内でも「縁の下の力もち」的役割を果たすロジスティクスの最新事情を知りたい人はドンドン受講されたい。

 ビジネスチャンスはこんなところから生まれるかもしれない…。

※「ロジスティクス最新事情」は、商学研究科黒須誠治教授がコーディネーターを務める寄付講座である。(筆者は前年度後期に受講)

(2007年5月10日掲載)

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First drafted 2007 May 10.



オープン教育センター 「ジェンダーで読む映像作品」


小林富久子教育・総合科学学術院教授
▲ 小林富久子教育・総合科学学術院教授

第一文学部4年 松岡 瑛理

 「映画」、それは19世紀に誕生し、20世紀に大きく発達を遂げた、極めて現代的なメディアである。この授業では、映像作品を「ジェンダー(社会・文化的な性のありよう)」という観点を用い、歴史的にさかのぼることで「男性/女性」が、あるいはそこからあぶれる人々が、これまでどのようなポジションに置かれてきたかを分析してゆく。

 授業の主旨を難しく考える必要はない。映画を巡ってこんな疑問を抱いたことはないだろうか。多くの場合、なぜ映画の中で、男性は「主体的」に演じるのか? 女性は性的な意味付けばかり与えられるのか? ジェンダーという言葉でクリアに説明することのできるそれらの小さなモヤモヤは、授業が終わるころにはきっと、鋭敏なアンテナと化していることだろう。

 授業では、まずフェミニズムの映画批評理論を読んで「ジェンダー」という視座を取得。その後いくつかの映像作品を鑑賞して、実際に自分の眼で映画を分析する。ある回では「第三世界と女性の表象」を巡り、女性性器切除にまつわる映画を鑑賞した。テーマの稀少性と内容の重みも相まってか、授業後のディスカッションでは真摯に「自分の立場」を考える意見が寄せられた。

 その後は、授業で学んだことを活かして一人一度、好きな映画を取り上げ発表する。もともと映画の好きな受講者が多く、『チャップリン』、『男はつらいよ』、『蝶々夫人』など、取り上げる映画の時代や地域も多岐にわたっており、毎回発表を聞くのが楽しみである。

 担当の小林富久子先生は、毎回「それで、あなたはどう考えるの?」と発表者と受講者に問うことを欠かさない。良き指導者であると同時に、紛糾する発表では敏腕の調停者でもある。

 きっと多くの人にとって人生で重要な関心事である「性」を巡って、本音で語り合うことができること。これはこの授業でしか味わうことのできない醍醐味だろう。

※筆者は2006年度後期に受講

これから見る映画についての説明を受ける学生たち(教授の左から2人目が筆者)
▲ これから見る映画についての説明を受ける学生たち(教授の左から2人目が筆者)

(2007年4月26日掲載)

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First drafted 2007 April 26.



海洋野外活動実習
 ―沖縄の海、太陽の下で―


スポーツ科学部4年  磯崎 萌絵

 2005年度に開講された、太田章先生の「海洋野外活動実習」。舞台は沖縄県の渡嘉敷島。青い海と白い砂、まさに「美ら海」だ。

 その第1期生となったのが、私を含む22人のスポーツ科学部生。年齢は19歳から26歳。学年を問わずこんなにも「きらきら」できることが大学生活であっただろうか? これぞ「太田マジック」なのだ。

 私が太田マジックのとりこになったのは、1年生の夏に参加したオープン教育の野外活動実習。その時も都会から離れ、フリスビーや野球、大縄跳びを「本気」でやった。太田先生は学生を「本気」にさせる天才でもある。その時の感動が忘れられず受講したのが、この海洋野外活動実習である。

 この実習では現地のインストラクターと共に約4日間、シュノーケリングを始め、シーカヤックやドラゴンボート(ハーリー)、海辺でのキャンプ方法を学ぶ。目の前を色とりどりの魚が通り、ヒトデやサンゴ、ついには海ガメにまで遭遇することができた。初めて沖縄の海に潜ったあの瞬間を、忘れる学生はいないだろう。東京では絶対に味わえない感動。その感動は休憩時間にも及び、先生に「少しは身体を休めろ」と言われても、とにかく皆で動き回った。休むのがもったいない、みんなともっと一緒にいたい、その気持ちがあふれて休憩中もビーチバレーをし、サッカーをし、泳ぎもした。夜はキャンプファイヤーを囲んで一人ずつ自分の夢や想いを語った。退屈そうな人は一人もいない。大学に入って、こんなにもステキな出会いをし、こんなにも皆といる時間が心地良く、時間を忘れたことがあっただろうか。今思い出しても夢のような時間だった。そんな私たちを、現地のインストラクターはこう言った。

 「本当に皆は、休むことを知らないマグロみたいだ。動いてないと死んでしまう!」  スポーツを学ぶ私たちにとっては、最高に誇り高い言葉である。学生をそんな姿にさせてしまう太田先生の授業をあなたも体験してみたくはないだろうか。沖縄の海、太陽の下、太田先生の授業は一生分の価値がある。

(筆者は2007年3月に卒業)

前列右から4番目が太田章スポーツ科学学術院准教授。筆者はその左。
▲ 前列右から4番目が太田章スポーツ科学学術院准教授。筆者はその左。太田先生はロサンゼルスとソウル五輪のレスリング・メダリストでもある

(2007年4月19日掲載)

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First drafted 2007 April 19.



寄本勝美ゼミナール 「地方自治の理論と実際」


政治経済学術院 寄本勝美教授
▲政治経済学術院 寄本勝美教授

政治経済学部4年 青木 栄介

 「36年間」、これだけの時間があれば、赤ん坊は父親になり、新入社員は定年が見えてくる。それほど長い期間、政治経済学部で続いているゼミが、寄本勝美ゼミである。今年度からは、第37期の授業が始まっている。おそらくゼミの歴史の長さにおいては早稲田大学で一番ではないだろうか。

 36年間のゼミの歴史の中で変わらない伝統は「自主性」だ。ゼミの役職決め、テーマの決定はもちろん、運営もすべて学生にゆだねられる。ゼミのテーマは「地方自治の理論と実際」で、毎週発表者を決める。発表するテーマは「地方自治」に関することなら何でも構わない。学生は各々好きなテーマを探してきているので、テーマはさまざまだ。

 「地方行政」、「市民自治」というオーソドックスなものから、「タウンミーティングとやらせ問題」、「夕張市の財政破綻」など時事問題をからめたもの、「市民球団」、「清掃行政」など、スポーツ・環境・福祉などさまざまな切り口から「地方」をとらえ発表する者もいる。当日のゼミの運営も、発表者にゆだねられる。

 発表者の討論が終わると全体討論に移る。先生はじっと静かに聞いている。討論もゼミ生任せだ。話が一段落すると先生はおもむろに口を開き講評を述べられる。改善点を指摘するその話し方にも、学生に対する温かさが常に感じられる。

 これほどの長いゼミの歴史は、もちろん先生の人柄によることは言うまでもない。

 地方分権化の流れに伴い市民の「自主性」、自治体の「自主性」が求められる昨今において、寄本ゼミは今も昔もかわらず「自主性」と「先生のやさしさ」で運営される。


和気あいあいの寄本ゼミ(前列左から2番目が筆者)
▲和気あいあいの寄本ゼミ(前列左から2番目が筆者)

(2007年4月12日掲載)

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First drafted 2007 April 12.