進路選択物語

何となく今の仕事に 就いちゃったら


2003年度 法学部卒 張堂 律俊 
進路先:家業(宗教法人 妙林寺)

本堂にて。筆者
▲本堂にて。筆者

 私の実家は、福島県にある比較的古い天台宗の寺だ。小さいころは頭を丸めた着物姿の父がカッコ良く思え、「僕もお坊さんになる」と言っていた。しかし中高生くらいになると、いわゆる「敷かれたレールの上を進んでいるような気分」になってしまい、また世間のお坊さんに対するイメージが良いものだけでないということも知った。しかしながら、「俺は寺なんて継がないぜ!」と宣言する勇気もなかった私は、ささやかな抵抗として大学は仏教と関係のない所と決めた。

 大学在学中は自由に楽しんだが、そろそろ卒業となると、次に私は司法試験という道に逃げてしまった。当時は本気でやっているつもりだったが、今考えると中途半端な気持ちだったのだから、合格するわけもない。

 25歳までに合格しなければとりあえず寺を手伝うという約束があったので、比叡山に籠り修行をし、ついに坊さんになった。それでも隙を見てロースクールでも行こうか、などと考えていた矢先、住職である父が末期がんであることがわかった。

 病床の住職と今後のことなど、さまざまなことを話すうちに、今まで持っていた坊さん観は変化し、少し寄り道をしたが、これはこれで悪くないと思えるようになった。

 坊さんと呼ばれて、数カ月。自分の能力を活かせたり、直接に人の役に立つことも、収入が増えるということもない。法人組織なので、事務や経理の仕事もかなりある。法要の無い日は経典や学術書を読みながら引きこもって勉強する日々で、エキサイティングな仕事とは言いにくい。しかし、なかなかの充実感を得ている自分がいる。最初から希望していた進路とは言えない。しかし今の私は自分の進路が間違いだったとは思っていない。

 私は、人の個性などというものはいい加減で、人間は毎日変化していると思うのだ。仕事が自分に合っていないような気がしても、納得できなくても、とりあえずやってみるというのも一つの正解だと思う。もし仕事と自分が合っていないと思うなら、ひとまず「自分」を変えてみてはいかがだろうか。

(2007年6月21日掲載)

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First drafted 2007 June 21.