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部としての成長 ―早稲田大学レスリング部―スポーツ科学部4年 主務 塚本 建未
レスリング部の練習場には、日本レスリング界の発展に尽力した八田一朗氏が書いた「闘魂」の文字が掲げられている。八田氏は「八田イズム」といわれる指導方法によって五輪メダリストを多数輩出し、レスリングを日本のお家芸と言われるまでにした。1931年、早大柔道部の一員として米国遠征に参加。その際にレスリングに触れ、帰国後に本学においてレスリング部を創設した。部は1934年に大学から公認され、同年に東日本リーグ戦の前身である対抗戦を行った。その後、本学に続いて他大学でもレスリング部が創設され、日本のレスリングは大学の部活動から発展していったといえよう。早大レスリング部の歴史はまさしく日本レスリングの歴史でもある。 しかし、その後早大は日体大、日大といった後進の大学が活躍する中で、長い間表舞台から遠ざかっていた。草創期における早大の活躍は忘れ去られたかのようにさえ思えた。そんな早大が東日本リーグ戦において43年ぶりに決勝へ進出し「古豪復活」という印象を深めたのが一昨年度のことである。その原動力となったのが、アトランタオリンピック銅メダリストである太田拓弥コーチを外部から迎え入れたことであった。練習は質、量ともにハードになり、推薦によって多くの有能な選手が入部し、部員数は倍以上に増え、インカレをはじめとした全国大会に多くの入賞者を輩出するまでになった。 個人スポーツのイメージが強いレスリングであるが、誤解を恐れずに言えば、大学レスリングの醍醐味は東日本リーグ戦をはじめとした団体戦である。この東日本リーグ戦を含めた4つの団体戦で優勝することがわれわれの目標だ。しかし、現在部は過渡期にある。ただ単にレスリングを楽しくやればよかった子供から、勝たなければいけないという重責を担った大人になろうとしている。試合への勝利につながる「強さ」を優先するか、あるいは初心者を大事にする良き「伝統」を優先するのか、部としてのアイデンティティーも定まってはいない。現在の過度期を乗り越え、われわれは優勝しなければいけない。そのためには単に強いものが集まるプロ集団ではいけない。大学でレスリングをする意義を知り、部として成長していくには一般の学生とのつながりが欠かせない。一度、17号館地下2階のレスリング場に来てみてほしい。見学者のほとんどは去ってゆく。しかし、足しげく道場に通ってくれるようになる者が毎年数名現れる。トレーナーとして、記者として多くの一般学生が部の魅力に惹かれ、陰で支えてくれている。中には選手として部員になる者もいる。わたしもその一人だ。そんなさまざまな人間がいることが、この部をレスリング界において異彩を放つ魅力ある部にしているのだ。
(2007年6月21日掲載) Copyright (C) 2007 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.First drafted 2007 June 21. |