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バレエと学問の融合を試みるバレリーナ
 山下 麻理子さん


山下 麻理子さん
やました・まりこ
 1982年埼玉県生まれ。横浜国際翠陵高校卒業。東洋英和女学院大学を経て現在人間科学研究科博士課程2年。野嶋栄一郎ゼミ。1999年、第7回アジア・パシフィック国際バレエコンクール出場。2002年、第7回USA国際バレエスクール参加。趣味はバレエとフラダンス。

 音楽を耳にするとすぐに踊り出すような子どもだった。「そんなに踊りが好きなら」と両親に勧められ、4歳から始めたクラシックバレエ。「練習後にいつも母が買ってくれるコロッケが楽しみだったことは今でもよく覚えています」と、懐かしそうに目を細める。その柔らかい笑顔を見ていると、彼女がいかに家族に愛され、大切に育てられてきたかよく分かる。

 21年間バレエ一筋で、やめたいと思ったことは一度もなかった。しかし、成功する人はほんの一握りの厳しい世界。国際コンクールに出場した時は、世界のレベルの高さに衝撃を受けたという。「でも、それが『自分の良い部分を見つけて自分らしく続けよう』と考える転機になりました」。自分らしさの表現の一つとして山下さんが選んだのが論文。バレエを習得する過程を、認知面から構造的に解明するというものだ。「バレエを研究する人は稀なので、新しい取り組みになると思います。こういう形で自分がやってきたことを残せれば、今まで続けさせてくれた家族への恩返しにもなると思うんです」

 その家族にとって昨年は試練の年となった。両親が相次いで病に倒れて入院。遠方に住む2人の兄に代わって看病の中心となったのが山下さんだった。大学とバレエ教室と病院を行き来し、論文は病院の待合室で書いた。「研究室の仲間や野嶋先生も家族のことを優先させてくれました。環境に恵まれていたと思います」

 今年の夏に行われるバレエスクールの公演では『白鳥の湖』の『黒鳥』を演じる。終盤での32回転ターンという難度の高い技が有名な、バレリーナのあこがれの役だ。「退院した両親も観に来ます。入院中はたまたま公演がなかったので、2人とも私の公演は皆勤賞なんですよ!」。支えてくれた人たちへの感謝の気持ち、バレエ研究の第一人者を目指すという新たな目標、家族への深い愛情。さまざまな思いを込めて踊る山下さんの姿は、よりいっそう美しいに違いない。


▲2006年9月、『ドン・キホーテ』でキトリ役を演じた際の1シーン。

▲2003年9月、『コッペリア』のスワルニダ役

(2007年6月14日掲載)

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First drafted 2007 June 14.