わせだかいわい

水野帽子店と早稲田精神昂揚会


早慶戦の応援ボード
▲早慶戦の応援ボード
手回し式ミシン(1針用)
▲手回し式ミシン(1針用)

早稲田の角帽

 本学のシンボルのひとつである角帽。歴史は古く、大隈重信が「どこにいてもすぐに早稲田の学生であると分かるように」と作らせたのが始まりである。東京専門学校開校のころ、学生は角帽に学ランや袴姿だった。かつての応援マスコットの「フクちゃん」も角帽をかぶってスタンドから応援していた。

 5月初旬。100キロハイクを直前に控えた学生サークル早稲田精神昂揚会は、西早稲田キャンパスのカフェ125向かいにある「水野帽子店」を訪ねた。今年入会した新人の角帽とバッチをあつらえに行くというので、第49期正幹事長、星洋平さん(法3年)のご協力の下、その様子を取材させていただいた。

 この地で帽子店を営む水野さんが、戦火を逃けて神田から早稲田へ引っ越して来た。そのころから早稲田の角帽を作っていたが、以前は海軍の帽子や中央・明治・日本大学などの角帽も作っていたという。見本さえあればどんな形の大学の角帽や丸帽も作ってしまう生粋の職人である。

 古くなった角帽を直してもらいに来店するOBへのアフターケアも欠かせない。帽子を縫うのは、大正時代から使われている手回し式のミシンで、先代が購入したもの。使い込まれ深い味わいがあり、今ではアンティークとしても大変価値のある代物に違いない。ハンドルのひと回しで4針落とす。こうやって作られた角帽は既製品と違い、とても温かみのあるものに仕上がっている。

蛮カラ学生の聖地

丁寧に帽子を合わせてくださる水野さん
▲丁寧に帽子を合わせてくださる水野さん

 学生に「髪の毛は切るの?」と聞いて、髪を切った後でも帽子が合うように一人ひとり丁寧に帽子を合わせてくれる水野さん。「こっちの方がいいかな」という学生に「そこに鏡があるから合わせてみて」と、とても和やかな雰囲気だ。帽子のかぶり方は、前を下げるようにかぶり、つばを少し引っ張るのが良いそうだ。

 星さんも地域交流をとても大事にしていて「100キロハイクなどのイベントに協力していただいている地域の方々、早稲田界隈の商店街の皆さんにとても感謝しているんです」という。早稲田精神昂揚会というと蛮カラで、少し荒っぽいイメージがあったのだが、「公園のベンチなどで近隣のおばあちゃんと話をしたりするんです」という星さんの言葉からは、また違った側面を垣間見た。

 「やはり早稲田といったら、学ラン、角帽に高下駄、腰手ぬぐいの蛮カラ4点セットですよね。そういうのに憧れている人は多いと思います」と星さん。早稲田の蛮カラに憧れて入学した星さんも新人のころ、先輩に連れられて水野さんのお店で角帽を購入した。「自分が早稲田の角帽をかぶり、学ランに袖を通すなんて、恐れ多いというか、俺なんかでいいのだろうか」と思ったという。憧れていたものを手にし感慨深かったに違いない。これから先もそんな憧れを抱いた多くの学生を水野さんは温かく迎えてくれることだろう。

水野さんと早稲田精神昂揚会(前列右から2番目が星さん)
▲水野さんと早稲田精神昂揚会(前列右から2番目が星さん)

(2007年5月31日掲載)

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First drafted 2007 May 31.