学び ふたたび

人々の安全を守るために


人間科学研究科修士課程2年 和泉 貴大

新ゼミ生歓迎会にて(筆者左側)
▲新ゼミ生歓迎会にて(筆者左側)

 2000年に上智大学経済学部を卒業後、保険会社に入社。社歴の大半をコンサルティング部門に身を置き、顧客企業に対するリスクコンサルティング業務に従事。労働災害リスク(Workers Com-pensation Risk)、事業継続計画(Business Continuity Plan)などの担当として、企業の調査、診断システムの開発、ビジネスセミナーの企画運営を行ってきた。

 近年、わが国の保険会社は、保険金支払の業務だけではなく、事故発生前から顧客企業の安全支援を行うリスクマネジメント事業を強く推進している。しかしながら、そのコンサルティング機能は欧米に比べ遅れをとっているのが実情である。その理由は、事故発生要因の多くが「人間そのもの」にあるにもかかわらず、心理学や生理学といった人間科学的な観点が日本では大きく抜け落ちているからだ。

 さまざまな領域で産業災害が頻発し、社会全体として解決が求められている昨今、正統なヒューマンサイエンスを修めなければ、われわれの業務は必ず壁にぶつかってしまうだろう。こうした「焦り」が、大学院で学ぶ契機となった。

 現在、私は安全人間工学研究室に所属している。会社業務と並行しての限られた時間の中、取り組むべき課題は山積しており苦労も多い。しかし、多方面で活躍される石田敏郎人間科学学術院教授の教えを受け、安全に関する最新の知見に触れることができるのは何物にも代えがたい喜びである。また、世代もバックグラウンドも多様な、多士済々の素晴らしい院生仲間との出会いも、良い刺激となっている。

 確かに、想像以上に大変な二重生活ではある。しかし、仕事に集中し、仮眠を活用し、深酒と縁を切るなどの工夫を通じて、タイムマネジメントの能力はかえって上達した。

 社会人として、私は常々「人々の安全を守り、公益に資するために働きたい」と考えている。そして、私にとって、学び続けることはそのために不可欠な手段なのである。大学院での生活を通じて、その思いは一層強いものとなった。

 修士課程を終えても、どこにいても、私は学ぶことをやめないだろう。

(2007年5月10日掲載)

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First drafted 2007 May 10.