現場レポート

北緯38度 ―日本コリア未来プロジェクト―


社会科学部2年 高田 元気

 あるメンバーが言う。「南北朝鮮の際である北緯38度、ここは非日常の中の日常」

地雷原を視察するメンバー。有刺鉄線のすぐ向こうには地雷地帯が広がっている
▲ 地雷原を視察するメンバー。有刺鉄線のすぐ向こうには地雷地帯が広がっている

 まさにその通りだ。ここは僕ら日本の学生にとっては非日常の空間であるが、付近の村人にとっては日常の生活を営んでいるに過ぎない。民家のすぐ隣には、縹渺たる地雷地帯が広がっている。すぐそこに見える丘の向こうには、北朝鮮の山々が連なっている。しかし、誰もその数先の丘を行き来することはできない。

 今回の「日本コリア未来プロジェクト」では、朝鮮半島の最南端に位置する釜山からいくつかの都市を経て、北緯38度線まで北上し、韓国を縦断した。本プロジェクトの目的は、北緯38度線付近でいまだに眠る地雷という、南北分断の負の遺産による現状を見聞することで、一人ひとりが未来について考えようというものであった。

 今回の渡航に至る背景として、昨年、僕は偶然にも朝鮮半島とそこに住む人々に、興味を持ち始めたことがあった。さらに実際に自分で触れてみたいと考えるようになり、渡航を決意した。

 渡航中、2週間を共にしたメンバーは北緯38度線に広がる地雷地帯や、眼前に広がる北朝鮮の山々を見て「何か」を感じた。よく人に聞かれるが、その「何か」とは一体何なのか。それは、現在まだ言葉にできるものではなく、言葉にする必要もないと思う。

 今回の渡航を通して、今まで疑問を抱き続けてきた「ボランティア」という言葉の意味に、自分なりの一つの確かな答えを得ることができた。「普通に出会っていればどうでもなかった人々との出会いを、かけがえのない出会いに変えることができる」、それが自分の出した結論である。ボランティア活動とは、その出会いのための手段に過ぎないと思う。

 そして僕は、改めて今後も人との出会いを大切にできる活動を続けていきたいと、感じるようになった。

延世大学での集合写真、前列左から6番目が筆者。
▲ 延世大学での集合写真、前列左から6番目が筆者。

(2007年5月10日掲載)

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First drafted 2007 May 10.