進路選択物語 |
充実感のある「疲れた」を言いたい
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▲ 機会があるごとに、社会に出た先輩たちから仕事について尋ねている。写真はアナウンサーの先輩(写真中央)と神宮球場前にて(右が筆者)
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尊敬できない人…父親。こう書くと、私は親不孝者として非難されるかもしれない。それでもいい。いつからだろう、私は父親を反面教師に生きていくと決めた。
その最たる例として、私はこれまで会社員にはなりたくはないと思っていた。普段、無口の父親からは、会社の良さや会社員の生きがいが伝わってこなかった。毎日、帰宅時に漏らす「あー、今日も疲れた」の言葉や顔には、笑顔や充実感はない。「会社員」の最も身近な存在を見てきて、私は良い印象を持てなかったのだ。
なぜそこまでして毎日会社に行くのか。最大の要因は家族のためだと思う。わが家は4人家族で、子どもは私を含め2人。2人ともまだ学生だ。父親が毎日会社に行き、仕事をして給料をもらっているからこそ、今私たち家族は生きている。その父親に対する感謝の気持ちを忘れたことはない。だが、感謝の気持ちと、父親と同じようになりたいと思うことは別次元の話なのだ。「働きたくない」わけではない。父親のような「働き方」をしたくなかった。
その私に転機が訪れた。新聞社でのインターンシップである。出会った記者たちは、「記事に対してたくさんの読者の反応がリアルにある。生産者と消費者が身近だからこそ、やりがいもあるよね」、「読者のために権力と闘って、お金ももらえる。こんないい職業は他にはないよ」と笑顔で語ってくれた。その姿に感銘を受けた。「会社員」のイメージが覆された瞬間だった。
その後、真剣に自分が何をやりたいのか考えた。出てきた答えは、周りの評価ではなく、自分が納得する仕事に就いて、やりがいから来る笑顔の「疲れた」が言えるようになりたいということだった。
今、私は新聞記者になりたいと思っている。記者として世の中に埋もれている声をたくさんの人に伝えていきたい。そこにやりがいを感じ、就職活動に向かっている。
なぜ父親は会社員になろうと思ったのか。それを父親は語ろうとしないし、私も聞いたことはなかった。たとえ反面教師であったとしても、自分が一つの進路を選び取る前に、その話を聞いてみたいと思う。
(2006年11月30日掲載)
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