こんな授業! どんなゼミ?

「漢字文化圏論」
辞書はあらゆる分野の入口


笹原宏之社会科学総合学術院助教授
▲ 笹原宏之社会科学総合学術院助教授
授業風景。前列左端が筆者
▲ 授業風景。前列左端が筆者

社会科学部2年 小西 英昭

 「漢字文化圏論」と聞くと、小難しい内容なのだろうと距離をおいてしまう人がいるかもしれない。しかし、この授業においては、そのような心配は全くいらない。笹原宏之先生の話を一度聞けば、病み付きになるだろう。

 私が初めて笹原先生に出会ったのは1年の時に履修した「言語表現論」の講義である。この講義もまた堅そうなネーミングだが、1回目の講義で私の心は奪われた。難しそうな講義名とは裏腹に、自然と言語の世界へと導かれていったのである。この講義を受け、私の中で大学の講義像が一変した。

 「漢字文化圏論」の講義内容はいたってシンプルで、漢字を取り巻く事象について探求するといったものだ。まず「漢字文化圏とは何なのか」から始まる。漢字について学んでいく中で、「中国でなぜ漢字が生まれたのか?」という疑問にぶつかるだろう。それは授業が自然と解決してくれる。

 言語の異なる韓国でも、ハングルに混じって、漢字が使われている。例えば、「カムサハムニダ」の「カムサ」は「感謝」と書くという。またベトナムでは「ありがとう」を「カムオン」という。恩を感じるで「感恩」と表記する。このように、いろいろな漢字圏の言葉を比較することにより、ぼやけていたものが鮮明になってくる。

 また、日本語の多彩さにも気付くだろう。日本では、例えば「生」で「なま」、「いきる」、「うむ」、「はえる」などの大和言葉を表す訓読みまで行っている。私の口からこれ以上内容を申し上げるよりも、興味のある皆さんは「漢字文化圏論」を受講することをお勧めする。

 最後に、私の忘れることのできない"笹原節"を挙げておこう。ある時、先生がこうおっしゃった。

「辞書に載っているものを答えだと思ってはいけないこと。辞書はあらゆる分野の入口に過ぎない」

 私はこの言葉に強い衝撃を受けるとともに、言語の奥の深さに少しでも触れてみたいと思った。「言語表現論」、「漢字文化圏論」を経て、私は現在、笹原ゼミに参加している。

 きっかけはどこに転がっているかわからない。入口は辞書であったり、この『早稲田ウィークリー』かもしれない。皆さんも言葉の世界に触れてみてはいかがなものだろうか?

(2006年11月30日掲載)

Copyright (C) 2006 Student Affairs Division, WASEDA University. All rights reserved.
First drafted 2006 November 30.