薦!

『修養』 新渡戸 稲造 著
2002年 1,365円(税込)  たちばな出版


自分の生きたい人生を探る

<評者>
大河内 博
(おおこうち・ひろし)
理工学術院助教授
担当科目:環境地球化学、環境機器分析、環境保全工学概論、応用物理化学演習ほか
専門分野:大気・水圏環境化学

 自分の好きなことをやり、それで十分に食べることができ、かつそれが人の役に立つような人生を送れないものだろうか? そう考えている学生諸君は少なくないであろう。かく言う私もその一人である。では、その実現のためにはどうしたらよいのだろうか? 新渡戸稲造著『修養』は、そんな疑問に答えてくれる一冊である。

『修養』の原書は明治44年に出版されたが、昭和63年に著名な地球物理学者であった竹内均先生が現代風に再編集して、『いま自分のために何ができるか』(三笠書房)としても出版されている。

 社会に踏み出す一歩として悩むのが職業選択であろう。『修養』では、職業選択の第一は「好きか嫌いか、自分の性格が向いているかどうかで決めよ」と説いている。

 では、自分の嗜好が分からないとき、就きたい職業が自分の性格に向いているかどうか判断ができないときはどうするか。その時は、「最も自分をよく知っている友人、先輩、両親、教師に相談して決めよ。親切に観察してくれるなら教師が最良である」と説く。自分が好きで、自分の性格に向いている職業が見つかったなら、流行や給料の多少に惑わされずに邁進する覚悟が必要である。『修養』には、決意を持続させる方法、読書法、金・体力・知力・徳の貯蓄法などなど、自分の夢を実現させるための方法が具体的に書かれている。

 自分の人生に責任を持ち、自分の生きたい人生を探るのは自分しかいない。そのための道しるべとして『修養』の一読を勧めたい。また、残念ながら現在では中古本しか手に入らないが、『知的人生に贈る』(田中菊雄著・三笠書房)、『科学を志す人々へ』(石本巳四雄著・講談社学術文庫)も読んでもらいたい一冊である。理工学部生には後者は必読の書である。

(2006年11月2日掲載)

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First drafted 2006 November 2.