特集

「働く」って何ですか?
 ―「就活」のもっと前から働くことを考えてみる―
 第1部 キャリアセンター版学生生活のすすめ


「働くって何ですか?」 キャリアセンターはそういう人を待っている

 就職活動に励む学生が多数目に付くこの季節。雇用形態の多様化が進んだ現代でも、学生時代には必ず次の問題に向き合うことになる。

金子博キャリアセンター長
▲ 金子博キャリアセンター長

  自分は何のために、どこで何をして働いていくのか――。

  「そういうことを考えたときにこそ、キャリアセンターに来てほしい」と語るのは、1、2年生のうちから、将来について考えることを勧めているキャリアセンターの金子博センター長。それは、単に就職活動が成功するという短期的な視点ではなく、学生生活の充実、「ぶれのない」人生を送るための指針の発見につながるからだ。

  そうは言っても、学生時代に、将来に向けての「自分なりの答え」を見つけていくのは、確かに難しい。やみくもに考えると、逆にプレッシャーに感じてしまうこともあるだろう。 そんな疑問を前述の金子さんにぶつけてみた。

興味あることを「妥協なく」やる。 自分探しより自分創りを!

 まず勧められたのは、「自分の引き出し」をたくさん作ること。将来やりたいと考えている分野や、いま興味がある分野のことを「妥協なく」やってみればいいという。

  「その過程で得られるたくさんの経験や思いは、しっかりと自分の中に残り、自分らしさの土台となる。そうやって多くの「引き出し」を作っていくことが、すなわち自分創り。本当の自分は探すものじゃなくて創るものです。大事なのは『妥協なくやる』こと。片手間に多くのことをやっても全力で打ち込まなければ、何も残らない」。なお、将来のイメージが描きにくいときは、5年、10年後など、少し先を設定すると考えやすいとのこと。

  「今やっていることは、何であっても必ず将来に生かされる。例えば、大学受験の偏差値は、受験後に自分の価値とはみなされないが、受験で頑張った経験は、しっかりと生き続ける。まず、今を精一杯頑張ってほしいですね」

アウェーの試合に臨め!
「多様の早稲田」だから流せる汗や涙、得られる友

 次に、挫折をあえてしっかりと味わってほしいという。挫折するのは、今の自分の能力以上のものに挑んでいる証拠。一見、学生は「自由」に見えるが、やりたいことをする点では、実績も信用もお金も少ない不自由な立場。時に叱られ、時に負けても、そこから少しでもはい上がろうと、もがかなければ、小さくまとまってしまう。

  「僕らはよく『アウェーの試合をしよう』と言うんです。個性が入り混じる早稲田にいて、同質の仲間だけで群れるのはもったいない。普段と違うフィールド、考え方の違う人々の中に飛び込んで、多くの失敗をして、汗や涙を流す。そこでつちかう経験や出会う友人が財産になるんですよ」

  そうやって付けた力は、決して自己満足には終わらない。「多くの企業の採用担当者が『早稲田の学生はタフだし、いろいろな人とうまくやれますね』と言ってくれる。そんな人間に成長させる土壌や人材が、早稲田にはあるんです」

やがて、うっすら見えてくる自分の一生をかける目的

 「そうやって一生懸命に学生時代を過ごすと、『これを人生でやっていきたい』と人生の着地点ともいえる目的がうっすらと見えてくる。無理にその道のりまでもを明確化しなくていいから、その思いを大事に持ち続けよう」と話す金子さん。すべてを決めなくてよいというのは、社会に出たからといって働くことへの問いが終わるわけではないからだ。

  社会に出れば、学生時代には得られなかった知識・経験が積め、視野も広がる。同時に、転職、人事異動、大学院進学、子育て・介護のための離職など、時に予想もしない分岐点にも直面するだろう。働くことへの問いは、自然に人生の問いへと重なっていく。

  「だからこそ、人生の目的といえるようなものを学生時代のうちに見つけてほしい。それがぶれのない人生を歩む指針になる」という発言の後、金子さんはこう続けた。「就職活動は、あくまで人生のスタートラインに立つことに過ぎないのです」

 >> 第2部 座談会 現役大学生「働く」を語る


(2006年10月19日掲載)

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First drafted 2006 October 19.