現場レポート

WAVOC夏休みボランティア特集
ブータン・スマイル ―地球体験から学ぶ異文化理解inブータン―


第二文学部3年 川ア 麻り子

ブータンの宝物―ペマちゃん、チミちゃんの笑顔(ホームステイした農家のお嬢さん)
▲ ブータンの宝物―ペマちゃん、チミちゃんの笑顔(ホームステイした農家のお嬢さん)
修行僧たちと住所交換。今も連絡をとり続けている
▲ 修行僧たちと住所交換。今も連絡をとり続けている

 ヒマラヤの秘境、ブータン。世界で唯一、独立国家としてチベット仏教を国教とする仏教王国である。この夏私は、自転車で世界一周した経験をもつWAVOCの坂本達先生と10人の仲間と共に約2週間をブータン王国で過ごす機会に恵まれた。

  この授業では各自が自身の研究テーマを持ち、発表。チームとしては全員が役割を担当した。「実習の企画・運営は学生主体で」という坂本先生の方針から、自分たちで協賛企業を募るなどの準備を重ねて実習に臨んだ。

  私が一番興味を持ったのは、ブータン人の「幸せ」についてだった。依然、途上国として外国に依存しながら、ブータンは国家目標として「GNP」ならぬ「GNH(Gross National Happiness・国民総幸福量)」を掲げている。民族衣装の着用を義務化するなど独自の文化を守りつつ、1999年には世界で最後にテレビ放送を開始するというやり方で近代化を進めてきた。果たしてブータンの人々が本当に幸せなのか知りたかった。

  実習はまさに異文化体験。唐辛子が野菜として調理される激辛料理の数々。農家では犬におびえながら、懐中電灯片手にぼっとん便所(!)を利用する。蚊もダニも殺さない。犬は車道で堂々と昼寝中。店員はお客よりも友だちとの電話を優先…。でも、これらはすべて、命あるものを愛でて殺さない心、自分の友だちを大切にするブータンの心の表れだった。

民族衣装で「クズザンポ(こんにちは)」右から2番目が筆者
▲ 民族衣装で「クズザンポ(こんにちは)」右から2番目が筆者

  仏教では慈悲の心が大切にされる。僧院を訪れた時、同い年の修行僧がこう言っていた。「皆を救いたいから僧侶になったんだ」

  人の心は温かい。仏教の輪廻の輪の中で、日に2度祈り、今あるものに感謝し、家族を何よりも大切にして生きる彼らのその穏やかな心、それがブータンの「幸せ」なのかもしれない。

  私はその心に接して、人の心こそが幸せを生み出すことに気付いた。「幸せはあなたの中にあるんだよ」。目をつぶれば今もブータンのたくさんの笑顔がそう語りかけてくる。

(2006年10月5日掲載)

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First drafted 2006 October 5.