わせだかいわい |
美味しいと言わせることが楽しみ
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▲ 工夫が凝らされた鴨川セミナーハウスならではの和食メニュー
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▲ みるみるうちに積み上げられていく刻みキャベツの山
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▲ この日は洋食だったがさしみの舟盛りも出ていた
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2003年の鴨川セミナーハウスオープン以来、食堂の料理長として4回目の夏を迎える松川さんは、ホテルや割烹で28年間修行を重ねてきた、油の乗り切った板前さんである。
リッチな年配の客に料理を出していたころと違い、若い人向きの献立作りに、初めは戸惑いを感じたが、「まあ、自分のスタイルがどれだけ通じるか試してみよう」と海辺の町にふさわしいレシピを中心に料理を出してみた。珍しいと喜んでもらえると思って作ったサザエの壷焼き、有頭海老の塩焼き、鯵のさんが焼きに、全く箸をつけずじまいの学生の様子を見て、考え込んでしまった。都会育ちの多くの学生の目には、心づくしの珍しい料理も得体の知れないものとして映ったらしい。それ以来、若い年代層にはどんなものが喜ばれるのか、作っては反応を見、作っては反応を見、の繰り返しだったという。
「他のセミナーハウスにない、まね事じゃなくて、ここでしかできない一味違うものを出したいんですよ。だって、負けたくないじゃないですか」
献立は、学生の宿泊が基本的には2泊なので、和洋交互にしている。日々新鮮なものを出したいと考えているが、盛り付けにも気を遣っている。ここでは、ワンプレートの盛り付けはせず、一品一品料理に合った器で出すのである。
一日のうちで一番精神を集中するのは、メニューを考えるとき。その後は、仕入れから仕込みへと職人の経験と技が料理を次々に仕上げていく。
料理人は、松川さん一人なので、一度に96人分の食事を作るのはさぞや大変なことだろうと、その苦労を聞いてみると、「忙しいのは何でもない。一流ホテル並みに食材に金をかけることはできないけど、一つひとつの料理に調理人としてのプライドを込めて作っているんです」という答えが返ってきた。
反応はすぐ分かるという。食堂に入ってきてテーブルに並んでいる料理を目にした学生の「おー」とか「わー、すごい」という声を聞き、ここで松川さんはにんまりする。楽しそうに会話をはずませて笑顔で食べていたら、満足しているのだ。「どんな顔して食べてくれるか、それだけが楽しみでやってます。美味しいと言わせたいんです。私を含め、ここで働いているスタッフの評価をしてくれるのは、学生さんたちなんですよ」
以前、鴨川セミナーハウスを利用した学生が再び訪れ、まるで親戚の叔父さんの家に遊びに来たような調子で、食堂まで声をかけに来てくれることがあるという。「そんなときが一番うれしいですよね。このためにやってきたんだなあと」
最近は、テレビのスポーツ番組を観ていても早稲田のチームや選手が出ていれば、一生懸命応援している自分に気付き、「ああ、俺も半分早稲田になっちゃったんだなあ」と思う48歳、ゴルフが趣味の松川さんである。
(2006年7月20日掲載)
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