研究室探訪

虫と暮らす憩いの場
 西早稲田キャンパス19号館
 国際教養学術院教授 池田 清彦 研究室


池田先生
▲戸棚にぎっしりつまった標本を取り出してくださる池田先生。ご自宅には800箱ほどあるとか!
『月刊むし』
▲ 時には先生ご自身も執筆されるという雑誌『月刊むし』。表紙の挿絵(右)は、絵描きで虫採り仲間の分島徹人さん作。
池田先生の著書が並ぶ本棚
▲ 池田先生の著書が並ぶ本棚
虫の絵の池田先生ご愛用マグカップ
▲ オーストラリアのミュージアムで1年間研究員をされていたときに購入したという、虫の絵の池田先生ご愛用マグカップ。

 「虫、見るかい?」。心底楽しそうな笑顔でおもむろに開けた戸棚の中には、百箱近くの標本が隠されていた。中にはびっしり虫、虫、虫。一つひとつ丁寧に、採った場所や日付を書いたラベルが貼られている。その中には、古びて黄色くなった紙に手書きで「T.YORO」と書かれたものも。なんと、かの有名な解剖学者、養老孟司さんにもらったものだという。20年以上前に、とあるシンポジウムで知り合い、遊び仲間になったとか。「昔、養老さんがオーストラリアで採ってきたクワガタを『全部ください』と残らずもらってきたこともあるよ」。茶目っ気たっぷりに笑う。

  先生の「虫採り」歴は長い。小学生の時から、今にいたるまで採り続けてきた。「採りたい虫はもうあまりないんだけど、結局毎週行っちゃうんだよね」。そこら辺で採れる虫は採りつくしてしまったので、今はレアな1匹を狙い、炎天下、日がな一日待ち続けることも多い。時には、新種の虫を発見することも。「前任校の山梨大学の学生だった辻くん、伊藤くんが1999年に見つけた虫は、2人の名をとって『Tsujius itoi(ツジウス イトイ)』と命名したよ」。こともなげに語るが、自分の名前ではなく学生の名前を付けてあげるなんて優しい! 「名誉なことだからね、自分の名前を付けるわけにいかないでしょ。僕が新種の虫を発見した時は、神奈川県立博物館の高桑正敏さんが僕の名をとって『モルルクス イケダイ』と名付けてくれたよ。そういうもんだよ」

  入口近くの本棚には、先生が執筆された本がぎっしり。なんでも、今まで出しただけでも40冊以上あるとか。そんな偉大な研究者であるのに、なぜか親しみやすい。研究室へ伺うたび学生が楽しげにくつろいでいるのも、先生のお人柄ゆえか。取材途中に入ってきた学生に「虫がお好きなんですか?」と訪ねたら、「先生が好きなんです!」と即答。先生のにこやかな笑顔を見て、その答えにいたく納得した。


(2006年7月13日掲載)

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First drafted 2006 July 13.