進路選択物語 |
憧れのサラリーマンへ
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▲ 少年時代の筆者と、父親
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「サラリーマン」。この言葉の響きにどんなイメージを持つだろうか? 満員電車に揺られて、夜中まで働いて、居酒屋で愚痴をこぼすなんて馬鹿げている。そう思う人も多いかもしれない。
だが私はそうは思わない。私には憧れのサラリーマンがいる。父親だ。
「挨拶をしろ」。「お礼を言え」。「思うようにしなさい」。22年間で私が父親に言われたのはこの3点だけである。ここ何年もじっくり話をした記憶はない。普段は物静かでめったに会話をすることのない父親も、厳しい社会の中で戦い、自分の知らない所で怒られ、悩んでいるはずである。しかし、どんなに疲れて夜遅く帰ってきても愚痴一つこぼさない。幼いころからそんな父親に憧れていた私が、職業としてサラリーマンという道を選んだのは自然の流れだったといえると思う。
就職活動を始めた当初、私は父親の姿を追っていた。同じくメーカーに勤め、生まれてくる製品を通じて社会に価値を提供していきたいと思っていた。しかし、就職活動を通じて自分と向き合い、想いや夢を確認した時に、自分の選ぶべきフィールドはそこではないと分かった。内定はゴールではない、活躍するための単なるフィールド選びである。重要なのは、どこに行くかより、これから何をするかである。だからこそ父親の姿やブランドではなく、自分のやりたいこと、なりたい自分像が描ける企業への入社を決めた。
今思えば、幼いころから教えられていた3点が就職活動の中で、本当に大切なことであったと実感している。3社から内定をいただいた時にも「自分の思うようにしたらいい」と言ってもらえた。私は父親の変わらぬ姿勢に本当に感謝している。
自分で決めた道だからこそ、それだけの自信と責任が生まれる。父親からの変わらないひと言で、私はまた新たな一歩を踏み出すことができると思う。「親父みたいな社会人になりたい」。自分の息子や娘にそう思われる日を迎えられるように、私もじっくりと歩んでいきたい。
(2006年7月13日掲載)
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